・バーテンダーシルバー×若手警察官デュースのパロディ世界、通称酒場シリーズ(『Don’t stop to love me』~『Day by day』)の続編のような立ち位置の番外編です。これまでのお話を読んでないとたぶん意味が分かりません。
・シルバーが時々(バーテン営業時)は敬語なので、誰が喋っているか分かりにくいときがあります
以上大丈夫な方はスクロール↓
星の瞬きが煌めく夜。艶めかしいテナーサックスの音色とミッドナイトジャズの旋律が、ゆったりとした優雅な夜を演出する。
カランとドアベルの音が鳴り、カクテルとチェイサーを交互に楽しむ常連客。
「このカクテル、今日は何の意味を込めたんですか? 知りたいな、僕」
「ええ、もちろんお教えしますよ。ですが、そうですね。まずは当ててみますか?」
「はは、相変わらず意地悪だな。いいですよ、やりましょう」
愛するお巡りさんもいつものカウンター席について、俺との会話を楽しんでくれている。
いつも通りの穏やかで素敵な夜を演出して、今宵も『Bar Briar(バー・ブライア)』は営業中だ。
「僕だって勉強してきてますからね、当ててみせますよ。えーっと、このカクテルの意味は……」
お巡りさんが俺の差し出したカシスソーダの意味を考え出したとき。
それは、この完璧で静謐な夜を壊すかのように、現れた。
カラカラとやかましくドアベルの音が鳴り、現れたのは。
「シルバーく~ん! 会いたかった~!!」
「貴女は……!」
まずいことになったな、と舌打ちしそうになるのを口の中に留める。
……どうして、彼女がここにいるんだ。マレウス様の指示で、店には出入り禁止になったはずなのに。
隙を見てセベクと親父殿に目配せすると、彼らは頷いた。すぐに警察にでも連絡してくれることだろう。
俺のやることは、それまで彼女を刺激せず、時間を稼いでおくことだ。
「……」
デュースは先ほど差し出したカシスソーダを飲みながら、黙って俺の動向を見守っている。
早く、どうにかしないと。
「……お客様。失礼ですが、このバーには以前、入店禁止を言い渡されてはおりませんでしたか?」
あくまでもにこやかに。余裕のバーテンダーの仮面を崩さずに告げる。
「細かいことはいいじゃない! 好きな人に会いたいのに、細かい理屈なんていらないでしょ!?」
そう言いながら彼女はカウンターチェアに腰かける。
「注文すればお客様、でしょ? カクテル1杯、私のために選んで考えて?」
「大変申し訳ありませんが、お客様にはカクテルをお出しできないことになっております。店の方針でして」
「あら、何よ。つれないんだから」
ならいいわよ、じゃあ本題に入りましょ、と女はカウンターに大きく露出させた胸を乗せ、しなを作る。
……下品な誘い方だな。一番、俺の苦手なタイプだ。
「ね。今日こそいいでしょ、シルバーくん。私と今夜、素敵な夜を過ごしましょ?」
「……申し訳ありませんが、お客様。当店はそういったサービスは提供しておりません」
触れようとしてくる手をそっと押し返し、あまりにしつこいようでしたら、然るべき場所に連絡を致しますよ、と告げる。
さすがにもう、これくらいは言っても許されるだろう。
だが、それは思わぬ事態を招いた。彼女の逆鱗に触れてしまったのだ。
「……何よ。そう、恋人ができたって噂は本当だったのね……」
「一介の店員である俺の恋人の有無は、お客様には関わりのないことかと」
こういう手合いには、期待をさせないのが一番だ。隙を見せたら、付け込まれる。
……まだバーで働きたての頃、うっかり名前を教えてしまってから今日の日までずっと付け回されている、今の俺のように。
すると女は、さらに予想外の行動に出た。カウンターに座るデュースを親指で指して、言ったのだ。
「恋人って、あの子でしょ。知ってるんだから」
思わず、声が出そうになるが、押し留める。デュースをこんなトラブルに、巻き込みたくはない。
「……何やら、勘違いをされているご様子ですね。酔いが醒めますように、チェイサーでもお出ししましょうか?」
「結構よ、素面だから。ねえ、あの子なんかやめて、私にしましょうよ、シルバーくん。あの子はね、貴方のこと騙してるのよ?」
「何のことを仰っているのか、さっぱり理解しかねます」
すると女は、胸元から1枚の写真を取り出して、カウンターに置いた。俺はそれを見て、少し驚く。
その写真に映っていたのは、紛れもなく昔の、中学生くらいの子どもの頃のデュースで。
髪の色を金に染めて、バットを持って。明らかに、悪さをしていたからだ。
「……ね? 恋人にこんなこと黙ってるなんて、悪い人じゃない。だから、私と……!」
そう言って女はカウンターを乗り越え、俺のネクタイをぐいと引き、キスをした。
……ように、見えただろう、周りには。
だが、直前で止めた。手のひらを、俺と女の間とに挟んで防いだ。肩に触れてこようとした女の手首を掴み、少しだけ力を込める。
「お客様。退店をお願いします」
「何よっ……!」
幾度もの拒絶に対して激昂しそうになる女の目が睨んでくるのを、睨み返す。
そのときのことだった。俺が掴んでいた女の手首を、誰かの手がそっと外す。
「お姉さん、そこまでだ。……言いたいことがあるなら、署で聞こうか?」
隣に立っていたのは、警察手帳を掲げたデュースだった。
「もしもし? ああ、エース。営業妨害だ。20代後半、女性ひとり、連れてく。え、もう通報があってこっち向かってるのか? 分かった、助かる」
デュースは手慣れた様子で女性に手錠をかけ、身柄を確保し、すぐに同僚へと連絡を取る。
それから俺に向けて言った。
「……助けるの、遅くなってすいません。お代とかはカウンターに置いておいたんで、回収しておいてください」
「あ、ああ。……ありがとう」
そうしてデュースは到着したパトカーと連携し、女性を連れて行く。
俺は、店内の常連客に「皆さまお騒がせしました」とお詫びのサービスとしてデザートをサーブして、それからデュースのいたカウンターを片付けた。
するとそこには、お代と共に、走り書きのメモが残されていた。
『ブラッディメアリー、あとで飲みに行きます』
俺はそれを見て、思わず笑いがこぼれそうになる。そうか、ブラッディメアリー。
確か、あれのカクテル言葉は……。
デュースらしいな、と俺は頼りになる恋人の姿を改めて思い描いた。
……こんな形ではない方が良かったのは当然だが。それでも、少しだけ。彼の「お巡りさん」としての顔を見られて、良かったなと。
それから、俺は。女性が置いていった、デュースの昔の写真。それを、見なかったふりをして捨ててしまおうかとも思ったが。
……どうにもそれができなくて、結局ポケットに忍ばせた。
*
――警察署内。僕は連れてきた女性と、睨み合っていた。
「だからですね、お姉さん。あんたのやったことは営業妨害になるんです」
「嘘よ、迷惑になんてなってなかったわ!!」
「迷惑だから僕ら警察が呼ばれてるんですね、分かりますか?」
「そんなわけないじゃない、私にだけ名前を教えてくれたのよ!?」
はー、と僕は溜め息を吐く。埒が明かないな、このままじゃ。
「分かった分かった、じゃあ、いったん『お巡りさん』は終わりな。……ここからはやり合おうぜ、お互い、あの人を好きな奴同士」
「……やっぱりそうなのね!?」
「ああ、そうだよ。悪いか? あの人が自分で選んで、僕も自分で選んだ。誰も何も悪いことなんてしてないぞ?」
「悪いわよ! 人のものを横から取らないでちょうだい!!」
「人のものを横から取ろうとしてるのはあんたの方だろ!!」
「何よ……っ!!」
女の人が、僕をはたこうと手を振り上げる。僕は動かないまま、それを睨みつける。
「……やれよ。やりたいんだろ? 僕の頬を引っ叩いて、引っかきたいんだろ。だけど、そんなことしても、なあ。分かってるんだろ? あんた。あの人は自分のものにはならない、って。……だからあんたは、この手で僕を叩けないんだ」
そっと女の人の手を取り、降ろさせる。ああ、手首に掴まれた跡が残ってるな。少し、痛そうだ。シルバーさん、怒ってたんだな。
そうすると女性は、おもむろに机に突っ伏して泣き始めた。……よし。この人は、『戻れるタイプ』だ。希望が見えてきた。
「う……っ、うわあああ!! なんでアンタなのよ……っ!! あたしの方が先だったのに~!!!」
「うんうん、分かったよ。話ならなんでも聞くから。八つ当たりだってしていい。三日三晩だって付き合ってやるから、言いたいこと一回ぜんぶ言って、スッキリしようぜ? そしたら、ごめんなさいしような」
「うっ、私、私、実は……。淋しくて、ずっと、世界の隅っこでひとりぼっちだって思ってて、それで、ある日あのバーに寄ったら、あの店員さんが不器用に優しく笑ってくれて……っ」
そうして、女の人は一通り、自分の秘めてきた恋の道筋を吐く。僕はそれを、警察として、そして、恋敵として、受け止める。
一通り喧嘩して、言いたいこと言い合って。それで、ぶつかり合った本音の先にしか、見えないものがあるって、僕は、そう思うし。
今この瞬間、道を間違ってしまってる人でも、大抵は更生できる、やり直せるって信じたいから。
僕が悪さばかりしていたあの頃に、僕のことを信じてくれた警察官のように。
「そうか、そうか。でもさ、本当は全部分かってるんだろ? こんなことしちゃいけなかった、って。お姉さん、ほんとは賢そうなんだからさ。淋しかったからって、人に迷惑かけちゃダメだったって分かるよな?」
「うん、はい……。でも、私、あの人を前にすると、わけわかんなくなって、もう何度もやっちゃって、またやるんじゃって、怖くて……」
「病院とか通ってる?」
「一応……」
「じゃあ、医者の先生の言うことまたちゃんと聞いて、ちゃんとお客さんになれるまでは、あのバーに行かないようにしないとな?」
「……うう、ごめんなさい……」
「よし! よく言えた! 偉いぞ!! あとは、お姉さん。迎えに来てくれる人とかいる?」
「……友達でいいなら」
「分かった。それじゃあ、一応連絡先とか聞いて書類とか作らなきゃいけないから、他の警官に交代するからな」
「はい、えっと、あの……」
「なんだ?」
「……あの、ごめんなさい。昔のこと、バラしちゃって……」
「ああ……大丈夫だ。いつかこんな日が来るって、分かってたよ」
そうして、キィ、と取調室の扉を閉め。部屋の外で待機してたエースと黙って手と手を叩き合いバトンタッチする。
「ど~も~、お姉さん! 今日酔ってるカンジ? 酔ってないカンジ? それじゃあちょっとだけ質問させてね~!」
あとはアイツに任せときゃ大丈夫だろう。アイツ、ああいう失恋系の慰め方めちゃくちゃ上手いし。
僕はまず、女の人から聞いた連絡先に電話をかけた。
「こんばんは。警察ですが、実はご友人のお迎えをお願いしたく……」
『えっ!? またですか!? もう、本当に手間かけるんだから……すぐ行きます!! あの、逮捕とかって……?』
「今回は厳重注意ですが、これ以上また繰り返されるようであれば……」
『分かりました……。もう、本当にあの子は……。次は止めます、ありがとうございます、ご迷惑おかけしてすいません……!!』
「いえ、ではお迎えお願いしますね」
それから、エースの元に戻り、調書できたかと尋ねると、バッチリよと返事が返ってきた。
改めて取調室の椅子に座り、僕は女の人に話しかける。
「お姉さん。……先ほどご友人にお迎えのお願いをしたんですけど、本当に、心配してましたよ。遠くにある恋よりも、まずは身近にいる大切な人のことも、考えてみたらどうですか」
「……はい……」
「淋しい気持ちは分かるけどね、もう来ないでって言われたら引かなきゃだからね。その辺、ちゃんとまた病院とかで教えてもらおうね、オレたち警察もまた、そういうの上手い人とか担当の係、つまりプロの人が手伝うからさ。ね?」
「はい、ありがとうございます……」
すっかりしおらしくなった女の人に、やがて友人の迎えが来る。何やってんのあんたは、と怒りつつ、しっかり迎えに来てくれる辺り愛情深い人なのだろう。
「それじゃあね~、お姉さん。もうお友達に心配かけないようにね!」
「もうパトカーで連れてこられることがないようにしてくださいね」
エースと一緒に女性を見送り、それから簡単に書類を作成して、僕はようやく上がりとなった。
「お疲れ様~。今日はお前、大変だったね。お先上がるよ~」
「ああ、お疲れ、エース。お前もゆっくり休めよな」
ふと、腕時計を見る。……遅くなったな。シルバーさんはそろそろ、仕事が終わった頃だろうか。
……あの写真について、弁明くらいはしないとな。そう思い、僕はまた警察署を出て『Bar Briar(バー・ブライア)』へと足を向けた。
『Bar Briar(バー・ブライア)』へ着くと、もう閉店準備をしているようだった。『OPEN/CLOSE』のドアサインを翻しているシルバーさんが、店の前に立っていた。
「はは。なんかこれ、懐かしいですね」
そう告げると、シルバーさんはすぐに顔を上げ、僕の元へ駆け寄った。
「デュース! 無事だったのか……? 何か、されなかったか」
心配そうな顔で僕を見るシルバーさんに、僕は大丈夫ですよと笑い返す。
「何もされてません、大丈夫ですよ。シルバーさん、この後、時間ありますか? いろいろ、話したいことがあるんです」
シルバーさんは、分かった、と言って、すぐに後片付けを済ませるから、家で待っていてくれと言った。
僕は言われた通り、マンションの上階にあるシルバーさんの家へと向かう。
暗い部屋の照明をつけて、リビングのソファに座る。それから手を組んで、覚悟を決めた。
……言おう。何もかも。今回の事件の顛末も、僕の過去のことも。いい加減、シルバーさんに言うときが来たんだから。
やがて、静かな部屋にシルバーさんが現れ、ただいまと僕の座るソファの隣に座る。
僕は、自分から切り出した。
「結論から言うと、あの人は、やり直せます。ちゃんと「ごめんなさい」が言える人だった。止まれる人だった。……心配して怒ってくれる人がいた。だから、まだ、戻れる人でした」
「デュース……?」
シルバーさんは不思議そうな顔で僕を見ている。僕は、あまり説明が上手くない。だから、うまく言えないけど、それでも僕の思ってることをひとつひとつ、説明していくしかない。
「シルバーさん。写真、持ってるんでしょ。出してください」
そう言うと、シルバーさんは少し気まずそうに、昔の僕の写真を取り出した。どこから手に入れたんだよ、まったく。
「ひとつ言うと、これは、本当のことです。僕は中学校時代、不良だった。それも、唯一の肉親だった母さんを泣かせちまうくらいの……」
酷い悪ガキでした、と言う。シルバーさんは、じっと黙って僕の話を聞いている。
「……でも。今はこうして、警察官として、ちゃんとやっている。母さんも、喜んでくれた。つまりそれは、ある程度は、ですけど。「やり直せた」ってことだと、僕は……思っていて」
だから、その、つまり、とうまく形にならない言葉を紡いでいく。
「僕と同じように、間違った道を歩いていく人でも、やり直せるんだって、思うんです。だから、今日の人も、やり直せる方に、連れて行きたかった。やり直せるように、道を引いて、道筋を作って、導いてあげたかった」
それで、それは上手く行ってるのかどうかはまだわかんないんですけど、希望はあるように見えました、とシルバーさんに報告する。
それから、それから、僕は一番言いたくないことを言った。
「……それが、今の僕のやり方、今の気持ちです。昔のことを美化するつもりはないけど、あの過去があったから、今の僕がある。それは良くも悪くも、事実で。……だけど、シルバーさんが、……そういう、昔の僕に幻滅して、もうお前なんか嫌だって言うなら、僕は……」
そこで言葉を途切れさせる。するとシルバーさんは、僕の身体をぎゅっと抱きしめた。
「……デュース。まずは、言ってくれてありがとう。俺に嫌われるかもしれないと思って、怖かったろう」
僕は、思わず安堵で涙が出そうになる。受け入れて、くれるのか。
「いいん、ですか」
「いい、というか。正直、複雑な気持ちでは、いる。まだ、知ったばかりだから。……だけど、俺なりの形で、飲み込もうとは、思っている」
今さら傍らにお前のいない人生など考えられないから、とシルバーさんは言った。
「……良かった。僕、嫌われるんじゃないかって、思って、フラれる覚悟、してました。その、意図して隠してたわけじゃない、んですけど。いつ言うべきかって迷ってたら、こんな形になっちまって……」
「そんな覚悟、しないでくれ。……俺がお前を振ったりするわけないだろ?」
シルバーさんは僕の頬に手を添え、上向かせる。そのオーロラ色の瞳には照明の光が煌々と照り返していて、少し潤んでいるのが分かった。
「俺の方こそ、気が気でなかった。他の客にも名前を教えていたのかと思われるかと、あの女が何をお前に言うか分かったものではないと……」
「そんな、攻撃的な人じゃなかったですよ。まだ理性のある人でしたし。それに、僕……」
「なんだ?」
「いつかこんな日が来るって、分かってましたから! ……シルバーさん、モテるんで」
「す、すまない。俺は、お前以外に色目を使ったつもりはないのだが……何故か向こうから、次から次へと寄って来るんだ」
「それ、ちょっと嫌味な感じありますよ。ったくもう、自分の魅力には微妙に疎いんだからな。名前は……なんで教えたんですか?」
「……働きたての頃、うっかり名乗って、ああいうトラブルになったから……名乗らなくなったんだ」
「なるほど……きっかけの人だったんですね」
僕の方は気にしてませんよ、シルバーさんのこと信じてますから、と言うと、シルバーさんは苦笑いをした。
「……今日は少し、苦い夜だったな。二人で呑み直そうか?」
「あ、いいですね。それじゃ、クイズの続きやりましょうか? 確か『カシスソーダ』の意味でしたっけ」
「ああ、それもいいが、約束通り作ってやる。『ブラッディメアリー』だろ? 少し、笑いそうになったぞ」
「えっ、なんでですか?」
「……俺のお巡りさんが、あまりにも頼りになると思ってな」
――ブラッディメアリーのカクテル言葉は、『断固として勝つ』『私の心は燃えている』。
ライバルなんかには負けねえぞってシルバーさんを安心させるつもりで置いていったメモ書きだったけど、なんかウケちゃったみたいだ。キッチンに向かうシルバーさんを追いかけて、僕はそのカウンター前に置かれた椅子に座る。
「作りながら、カシスソーダの意味も教えてくださいっ」
「ああ、いいぞ。まずはヒントをやる。ヒントは『俺がお前に思ってること』だ」
「いつもじゃないですか、それ! ヒントにならねえ!」
「さあ、当ててみてくれ。制限時間はブラッディメアリーが出来るまで、だ。当てられなかったら……お仕置き、だな?」
「隙あらばお仕置きしようとするこの人!」
そうしてシルバーさんは、慣れた手つきでカクテルを作り始める。
悪酔いもほろ酔いもひとつの夜に吞み込んで、僕たちだけの夜は更けゆくのだった。
*おしまい
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