DEVOTION

 ※ドルパロ(ギャラリーに置いてあるアイドルパロディの世界線のシルデュです。そちらを読まないと意味が分からないことがあるかもしれません)
 ※時系列:ドーム後、交際宣言前
 ※パロディにつき一部呼び名変更あり:リドル寮長→事務所長、ケイト先輩→ケイトさん、など
 ※パロディ世界観につきマジホイではなくバイクが存在します。
 ※モブ(名無しキャラクター)が結構出張ります。
 
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「それでは最後のコーナー、占いの部屋です!」
 ドームライブを終え、話題沸騰のアイドルユニット「Vopal Sword」として二人で出演したバラエティ番組。そこで出会った占い師に、俺は言われた。
「あら、アナタ……。『ひとりでは生きていけない』タイプね」
「……確かに、俺はたくさんの人によって生かされていると思う。よく当たる占いなのだな」
「うふふ。そのうち、アタシの言ってることが分かる日が来るわ。アタシの占い……当たるわよ」
 今思えば、そのとき占い師が何を言っているのか、よく分かっていなかったのだと思う。確かに俺は、身寄りがなくなった俺のことを引き取ってくれた親父殿や、その親父殿と俺の生活に多大な援助をしてくれたマレウス様など、俺を生かしてくれたまわりの人たちに恩を返すために生きている。
 だから、ひとりでは生きていけない、という占い師の言葉は、正にその通りだと思った。だけど、その言葉の本当の意味が分かったのは、もっと後のことだった。

『デュースが事故に遭った』
 冷たい北風が吹く、11月の街路上。リドル事務所長から、道を行く最中の俺に突然飛び込んできた連絡。居ても立ってもいられず、通話を切らないままに事務所へと走った。
「デュースが、事故って……どういうことだ!? 病院は!? 無事、なのか!?」
「落ち着くように! まったく、シルバー。キミらしくないよ、そんなに取り乱すなんて。ひとまず、デュースは無事だ。意識もある。だから、この後の話は落ち着いて聞いてくれるかな」
 リドルから聞いた話によると、デュースは、速度を飛ばしているバイクに轢かれそうになった子どもを走って庇った拍子に激しく転んでしまったのだという。それで、外傷を治療するため、今は病院へ連れていかれたのだとか。
「バイクと直接的に接触したわけじゃないから、正確には交通事故とは言えないかもしれないけれどね。まあ、そのバイクの主も、子供もデュースも無事だったとはいえ人が飛び出してきたことに怯えたのか、今は警察に捕まってしょっ引かれている。彼のことをデュースがどう思うかは分からないけど、とりあえず謝りたいそうだ」
「謝るくらいなら……!」
 最初からするな、と言いかけた言葉をリドル事務所長に止められる。
「同じことをデュースにも言うかい?」
「あ……」
 デュースも、かつてはそのバイクの主と同じようなことをしていた不良だった。それを、俺は忘れてはならない。同じ道を行く、ユニットの相方として。そして、生涯を共にしたい、恋人として。
「大切な人を傷つけられた、キミの怒りは最もなことだと思う。でも、これはデュースの問題だから、デュースに対応を任せよう。いいね?」
「……ああ」
 まずは紅茶でも飲んで落ち着くといい、とアイスティーを差し出される。いつも事務所で出されているホットの紅茶ではないのは、頭を冷やせという意味も込められているのだろう。ありがたくいただくと、随分と自分の喉が渇いていたことに気付いた。……そんなにも焦っていたのか、俺は。
「デュースは病院でピンピンしているそうだ。幸い打ちどころが良かったようで入院にもならないそうだから、この後、キミが迎えに行くといい」
「分かった。どこの病院だ? タクシーで向かう」
「住所は……」
 デュースが向かった病院の住所を教えられ、急ぎ足でそちらへ向かう。病院内に入って受付をし、看護師に案内されるままに道を行くと、元気そうなデュースが俺を見て笑った。
「あ! シルバー先輩、迎えに来てくれたんですね!」
 そんなデュースを、ぎゅっと抱きしめる。強く強く、抱きしめた。
「無事で良かった、本当に……! お前が事故に遭ったと聞いて、生きた心地がしなかった……!」
「ちょ、ちょっと先輩、大袈裟ですよ! ここ病院だし、それに、ちょっと傷口が痛いです……!」
「あ、ああ、すまない」
 抱きしめるついでに傷口まで抑えてしまっていたようで、慌ててデュースを開放する。
「けっこう血出てたんですけど、どれも擦り傷とか切り傷だったんで、ちゃんと処置してれば一週間くらいで綺麗に治るそうです。ただ、走った拍子に足をひねっちゃったので、そっちも一週間は安静らしいです……」
 テーピングしてもらいましたけど、最低限の番組出演のときに踊る以外はダンスレッスンはしばらくお休みですね、とデュースは言った。確かに、腕はガーゼや絆創膏だらけになっていて、左足には包帯が巻かれている。
「ひとまず、今日は家へ帰ろう。運んでいく」
「い、いやいや恥ずかしいし、自分で歩けますって!」
 デュースを抱きかかえて歩こうとすると、断られてしまった。……いいじゃないか、足を怪我したお前を抱えて運ぶくらい。俺は本当に、お前が事故に遭ったと聞いて、最悪の事態を想像して、生きた心地がしなかったのだから。
 そんな俺たちを後ろから見て、声をかける青年の姿があった。
「今回は本当に、すいませんでした!」
 頭を下げる姿を見て、すぐに合点がいく。コイツが、デュースの怪我の元になったバイクの運転手か。
「お前は……」
 思わず睨みつけそうになる俺を腕で制して、デュースが彼の元へ進む。
「僕のこと、知ってるか?」
「は、はい。ヴォパソのデュース……さん、ですよね。元ワルだったって、俺らの間でも有名で……」
「なら、話は早いな。僕は母さんのため以外にも、昔の僕や、今のお前みたいなどうしようもないワルでも、ちゃんと真面目に努力すれば、ちゃんと評価してもらえるんだって証明するためにも、アイドルやってる。だから、今回のことを僕に許して欲しかったら、もう人を轢きかねないような馬鹿な真似はやめて、ちゃんとまわりの人を大切にしろ。分かったか?」
「は……っ、はい! ありがとうございます!」
「ちゃんと轢きかけた子にも謝れよ!」
「はいっ!!」
「よし! じゃあ、お前も気を付けて帰れ、以上!」
 デュースは踵を返し、俺の元へ来る。……強い存在だ。本当に。自らのあやまちを認め、同じあやまちを犯したものに、反省の機会と、行くべき道を与えられる。俺は、ただ怒りに身を任せようとした自分を多少恥じた。大切なものを傷つけられた、この怒りが不当なものだとは思わない。それでも、だ。デュースと共に往く道を選ぶのなら、苦くとも飲み込まなくてはならない感情も、これからたくさんあるのだろう。
 感傷的になっていると、デュースが俺に声をかけた。
「帰りましょう、シルバー先輩」
「……ああ」
 デュースを連れ、芸能人寮として与えられているマンションの一室へと帰る。帰り道に選んだタクシーの中では、なんとなく気まずい心地がした。

 玄関を開けて部屋へ入るなり、デュースの身体を抱き上げる。なんだかとても、デュースに触れて、守って、支えていたい気分だった。
「だから自分で歩けますって!」
「部屋の中でくらい、いいだろう」
 デュースにささやくと、デュースはムッとした顔をした。
「僕はお姫さまとかじゃないんで、そんな丁寧に扱わなくて結構です!」
 身をよじって俺の腕から降りるデュースに、苛立ちを覚える。
「……どれだけ心配したと思ってる!」
 なぜ、今日の俺はこんなにも苛立っているのだろうか。デュースがもし、俺の傍からいなくなったら、と悪い想像をした。それが恐ろしくて仕方なかったとはいえ、デュースに当たるようなことではないのに。
「それは、申し訳ないですけど……。でも、僕だってシルバー先輩におんぶにだっこなままなのは嫌です!」
 それを言われた瞬間。俺の中の何かがぐらついた気がした。デュースは、こうして俺に抱えられたり、フォローされたりする関係は、ずっと嫌だったのか?
 そんなの、答えを聞くまでもない。……嫌に決まっているだろう、男ならば。そんな、ある種情けないとも言える立場は。どうして俺はそんなことに今日この日まで気付かなかったのだろう。
「……そうか、分かった。無理を言ってすまなかった」
 デュースの横をすれ違い、顔を見ないままに部屋へと戻る。なんだか気まずいまま、その日はデュースと顔を合わせずに過ごすことになった。
 
 次の日。
「おはようございます、シルバー先輩。朝ですよ」
 デュースは時間通りに、俺を起こしに来た。まるで、何事も無かったかのように。
「……デュース……」
「はい、なんですか?」
「いや……なんでも、ない。足を痛めているのに、ここまで来させて悪かった」
 だから平気ですって、とデュースは言う。
 それでも、俺はデュースのことが心配で、手を伸ばしたくなったが……また、嫌がられたらと思うと、それは出来なかった。
 二人で朝食を摂る。朝は俺が眠っているので、起きた時にはいつもデュースが用意してくれているのだが、今日はなんだか味がしなかった。

 それからも、二、三日ほど、デュースとはなんとなく気まずいままだった。喧嘩という喧嘩をしたわけではないのだが、いや、いっそ喧嘩であるならむしろ、すまなかったとこちらから謝ってしまえばスッキリできる話なのだが、あれからどうにもデュースとの距離を縮められないでいる。
 風呂上がりにテーピングを巻き直しているデュースの姿を見ても、俺が手伝おうと声にできず、撮影中もフォローが遅れてリテイクを発生させることが多くなってしまった。
「珍しいね、シルバーくん不調? デュースちゃんと喧嘩でもした?」
 俺たちの様子を見に来ていたケイトさんが、そんなことを言う。
「喧嘩……は、していない。俺が、デュースを怒らせてしまって、一方的に気まずくなっているだけだ」
「えっ、そうなの? オレがさっき聞いた話だと、デュースちゃんが先輩に悪いこと言っちゃったのかも、って落ち込んでたみたいだったけど……」
「……デュースが?」
 俺がデュースを怒らせてしまったのではなくて、デュースが俺に悪いことを言った? ……そんなはずはない。何かが、俺とデュースの間で掛け違っている。
「うんうん、なんだろ。けーくんには詳しいことはわかんないけど、これだけは分かるよ。二人とも、もう一回じっくり話し合ってみたらいいんじゃないかな?」
「そう、だな。今日、帰ったらもう一度、デュースと話し合ってみる。ありがとう、ケイトさん」
「いえいえ〜! 所属っ子ちゃんたちのメンタルケアもスタッフの勤め、ってね! また何かあったら、すぐに相談するんだよ」
「ああ」
 ケイトさんにも勧められた通り、俺は芸能人寮の部屋に戻るなり、デュースともう一度、きちんと話をしようと思った。早く仲直りがしたいと足早にマンションの廊下を渡り、ドアノブを回すと、玄関のカギが空いていた。デュースが先に帰っているのだろうとドアを開ける。それとほぼ同時に、バタンと大きな音が部屋の中から響いた。
「デュース!?」
 急いで部屋の中へ入り、リビングで倒れているデュースに駆け寄る。するとデュースは身体を起こし、きょとんとした顔で俺のことを見上げた。
「シルバー先輩? そんなに慌てて、どうしたんですか?」
「……なんともない、のか?」
「あ、えっと、今のはちょっと、急に足が痛んで、バランス崩して転んじゃっただけです……心配かけて、すいません」
「はあ……」
 脱力して、デュースの身体をぎゅっと抱きしめる。もう、デュースが嫌がるかもしれないとか、そういうことにはかまっていられなかった。
「あまり、心配させないでくれ……」
「先輩……」
 デュースは抱きしめる俺の背中に腕を回してきた。俺を、許してくれるのだろうか? 余計な気遣いでデュースを怒らせ、避けるような真似をしてしまった俺のことを。
「……暖かい。先輩とこうやってハグするの、久しぶりですね」
「ああ。……避けるようにしてしまって、すまなかった」
 正直に謝れば、デュースは意外そうに驚いた顔をする。
「先輩、僕のこと嫌いになっちゃったのかと思ってました」
「なぜ、そんなことを思う」
「だって僕、先輩に迷惑ばっかりかけてるのに、それじゃ嫌だってワガママ言ったから……愛想尽かされたのかな、って」
「……俺は、世話を焼きすぎて、お前に嫌がられてしまったのだと……そう思っていた。俺こそ、お前に嫌われてしまったんじゃないかと……」
「なんだ、僕たち、同じことで悩んでたんですね」
「……そのようだな。だが、やはり俺はつい、何事にも手を出してしまう性分のようだ。それが大切なものであるのなら、尚更に」
 だから、と続ける。
「やりすぎたときは、過保護だと怒ってくれてもいい。それでもどうか、俺の傍にいてくれないか」
「……いいんですか? 僕、見ての通り意地っ張りだし、素直に先輩に甘えることも出来ない、可愛くない奴ですよ?」
 デュースの言葉に、俺は彼の右手をぎゅっと握り、祈るように懺悔をする。
「お前が事故に遭って、お前を失うかもしれないと思ったとき、恐ろしくて仕方がなかった。もし、今の俺の隣から、お前がいなくなったら、これからどうやってこの道を行けばいいのかと……、そのような不安も、多大に感じた。それで、苛立って、お前に辛く当たってしまった。きっと俺は、お前の存在に縋っているんだ」
「シルバー先輩……」
 デュースは俺の握る右手の上から、そっと手を寄せ、こつんと額をくっつけた。
「僕、シルバー先輩に迷惑ばかりかけてるんだと思っていました。知らない間に、そんなに先輩の心の支えになれてたんですね」
「……ああ」
「心配かけちゃって、すいませんでした」
「ああ」
「また甘えちゃっても、いいですか?」
「……もちろん」
 心のわだかまりが、陽だまりに置いた氷のように溶けていく感じがする。かつて占い師に言われたことを思い出した。
『アナタ、ひとりでは生きていけないタイプね』
 そうだ。その通りだ。俺は、身寄りがなくなった俺のことを引き取ってくれた親父殿や、その親父殿と俺の生活に多大な援助をしてくれたマレウス様など、俺を生かしてくれたまわりの人たちに恩を返すために生きている。それ以外にも、だ。今、傍にいる大切な人たちの手助けをしないでは、生きられない。何事にも果敢に挑むデュースのサポートやフォローをしているこの場所が、心地いい。俺は、あの占い師の言葉通り、常に誰かのために生きていなくては生きられない、ひとりでは生きていけない人間なんだ、と、改めて自覚をした。……俺はやはり、まわりの人に『生かされている』。再度、まわりの人たちに感謝の気持ちが募る想いがした。

「……デュース」
 デュースの身体を抱き上げる。部屋には暖房が入っているとはいえ、いつまでも冷たい床に転がしておくわけにもいかない。
「わ、先輩!?」
 デュースを抱き上げたままソファへ移動し、その身体を己の膝に乗せる。
「ここ数日、距離を空けてしまった分、触れ合いたい。……いいだろう?」
「いい、ですけど……僕、まだ腕の傷も足も治りきってなくて、体キレイじゃないし……大したことできないかもですよ?」
 照れたようにデュースはソワソワと身体を動かす。俺は多少キスや撫で合いなどの触れ合いができれば満足だったのだが、デュースはそれ以上のことも望んでいるのだろうか。だとしたら、やはり叶えてやりたい。俺にできることは、すべて尽くしたい。今、恋人であるデュースならば、それを許してくれるだろう。
「大したことをしたいのか?」
「うっ、それは……。正直、いっぱいちゅーしたいなとか、そういう欲は……溜まってなくも、ない、ですけど」
「なら、それについては俺がフォローしよう。デュース、俺にたくさん甘えてくれるな?」
「……はい」
 デュースの顔を引き寄せ、キスをする。唇が離れれば、もう一回とねだられたのでそのままもう一度キスをした。
「『いっぱいちゅーしたい』んだったな」
「も、もう、言わないでくださいよ……」
 デュースの、ケガが残る腕を強く掴まないように背中から抱き寄せ、ちゅ、ちゅ、と何度も触れるだけのキスを繰り返す。
「ん、ん……っ」
 それだけでデュースはもう気持ち良さそうに目を細める。可愛らしいことだ。
 デュースの腕のガーゼの上から、触れるか触れないか程度のキスをする。早く治ればいい、と半ば願いをかけるように。ガーゼがない腕の部分にも、すべて輪郭を辿るようにキスを残していく。そうすれば、デュースはくすぐったそうに身をよじった。
「デュース」
 デュースの首筋に顔を埋め、ちゅ、とわずかに強く吸い付ける。何日も消えないような濃い痕はできるだけ残さないように気を付けているが、一時的に赤く染めるくらいはいいだろう、と思った。
「ん、くすぐったい」
 俺の髪が首筋に当たるのをくすぐったがって、デュースは身体を逃がそうとする。それを捕まえて、また胸元にたくさんのキスを落とした。
「せんぱい、キス」
 デュースからねだられるままに、唇へキスをする。もっと深いの、と言いながら目を見つめられれば、逆らえずデュースの口内に舌を差し入れた。
「ん、んん、んむ……」
 デュースの頬が、耳が、目元が、赤く染まっていき、互いの吐息が荒くなっていく。痛めた足への負担を減らすため、再び抱き上げたデュースをソファへ横向きに転がし、その上に覆いかぶさった。
「デュース」
「せんぱ……んっ」
 デュースの唇にキスをしながら、白いYシャツの下に着られたTシャツの裾に手を差し入れていく。脇の下からするりと胸のまわりを撫でれば、デュースは気持ち良さそうな息を吐いた。
「ん……」
 輪郭ひとつひとつがそこにあるのを確かめるように、両手で腰から胸へとデュースの身体をなぞっていく。そうするとはだけた服からヘソが見えたので、その上の腹に口を寄せた。腹や腰の周りを、マッサージするように揉んだり、撫でたりする。
 それから、少しずつ胸のまわりへ手を滑らせ、突起には触れないように焦らしていくと、デュースは身体を時々びくびくと小刻みに震わせながら大人しく心地よさを感じているようだった。
「あ、ん……っ」
 散々焦らした胸の突起につんとつつくように指先で優しく触れると、それだけでデュースは甘い声をあげた。可愛い。もっと、気持ち良くしてやりたい。俺がこの手で、唇で、デュースの身体に尽くすことで。
 デュースの乳首の片方を舐めながら、もう片方を手でいじる。すると、デュースは俺の頭に手を添えながら、もう片方の手では声を抑えようと口を塞いでいた。
「ん、ん……っ」
 いじる方の手を止め、デュースの口を塞ぐ手を剥がす。
「デュース。声、聞かせてくれないのか?」
「や、恥ずかしい……」
「恥ずかしくない。可愛い、デュース」
 デュースの両手首を掴み、キスをする。そのままぐっと足と腰でデュースのものを抑え込むと、デュースはびくりと身体を震わせた。
「あ……!」
 デュースの足は、今、痛みで力が入らず、逃げるように動くことはできないだろう。それをいいことに、膝の動きでやわやわとデュースのものを圧迫していく。
「だめ、せんぱい……せんぱい……っ」
 デュースは首をふるふると振りながら、俺に腕を回してぎゅっと縋りつく。可愛い。もっと気持ち良くなってほしい。指で、背中で、足で、腰で、俺の身体のすべてを使って。
「直接触って欲しいか?」
「……ちょく、せつ……」
「ん?」
 また膝でゆるゆるとデュースのものへ弱い刺激をする。デュースはその度に耐えるようにぎゅっと瞼を閉じた。
「も、弱いの、やだ……、ちょくせつ、触って……」
「いい子だ」
 デュースの額にキスをし、ジッパーを下ろして下着ごとズボンの中へと手を滑り込ませる。起き上がり始めているそれの先端をぐちぐちと弄りだすと、デュースの口から甘い声が上がった。
「やあ、あ……っ!」
「デュース、気持ちいいか?」
「ぁ、う……っ、ん、うあ……っ」
「デュース」
「……きもちい……っ、やだぁ……っ!」
 頭の下に敷いていたクッションを掴み、デュースは快感に耐えきれずふるふると首を振る。
「ふっ、可愛いな。……脱がすぞ」
「あ……」
 デュースの足を片方ずつ持ち上げ、痛めた足に負担をかけないように気を配りながらズボンと下着を引き抜いていく。
 下半身があらわになると、デュースは恥ずかしそうに膝を閉じた。俺はその足を持ち上げて開かせ、デュースのものに顔を寄せる。
「せ、せんぱい、」
「………………」
 ちゅ、とデュースのものにくちづける。れろ、と舌を使い下から上に舐めると、デュースはまた嬌声をあげた。
「や、ぁん……!」
 デュースのものにくちづけと愛撫を交互に繰り返しながら、指先はゆるゆると撫でて後ろをほぐしていく。
 デュースの受け入れ口が緩み始めたところでローションを取り出そうとして、流れで事を始めた以上、何の準備もしていなかったことに気づく。
「………………」
 少し思案して、ベッドルームから道具を取ってくるよりもベッドへデュースを運んでしまった方が早いなと、デュースの身体を抱え上げた。
「せ、せんぱい?」
「道具を持ってきていなかった。このままベッドへ連れていく」
 大人しく連れられるままのデュースを己のベッドに下ろし、ベッドサイドチェストからローションとゴムを取り出す。
「後ろ、触るぞ。横を向けるか?」
「……はい」
 大人しく俺に背を向けるデュースの髪をいい子だと撫でつけ、デュースの後ろを再びほぐし始める。
 緩んだ受け入れ口にローションをたっぷりつけながら人差し指をゆっくりと差し入れ、デュースの感部を探る。
 やがてコリ、と硬い感触の場所に触れたので、それをとんとんと弄りはじめた。
「あ、ああ、シルバー先輩……っ」
「デュース」
 体は横を向かせたまま、デュースの顔を引き寄せ、キスをする。そしてまた後ろを弄ってやると、デュースはひときわ気持ち良さそうな声を上げた。
「あ、んん、あっ、や、も、そこ、きもちい……っ」
 蕩けてゆくデュースが可愛くて、俺の手はいっこうに悪戯をやめない。
「や、やぁ、せんぱい、も、そこばっかぁ……っ!」
 結局三本の指が入り切るまで、俺の指はデュースに喘ぎ声をあげさせた。
 
「デュース」
 はあはあと汗を流し、荒い息をこぼすデュースの身体を転がして正面を向かせ、額に口づける。
「……そろそろ、挿れても平気か?」
「だい、じょうぶです……」
 ありがとうとデュースの口にキスをする。それから、ゴムをつけた己のものをデュースの後ろにあてがった。
「せんぱい、はやく……」
「まったく、お前と言うやつは……!」
 デュースはすっかり焦れているようで、人の気も知らず俺を急かす。
 ぐっと腰に力を入れ己を挿し込むと、デュースは嬉しそうに俺を受け入れた。
「あ、せんぱいの、せんぱい、はいってる……っ」
「……ああ、入ったぞ」
「ふ、あ、あん、へへ……っ、うれしい、うれしいです、シルバーせんぱい……っ、ん、あ……っ」
「ああ……俺も、お前とひとつになれて、嬉しい」
「も、こんなふうに、できないのかもって、おもってたから……ん!」
「そんなことはない。これからも、何度でも、たくさんしよう。……お前が望むのなら」
 デュースの額に額を合わせると、嬉しそうにデュースは俺の背に腕を回してぎゅっと抱きついた。
 ぽんぽんとあやすようにデュースの背中を叩く。
「暖かいな」
「ん、暖かい、です」
 デュースと何度も口付けを交わしながら、ゆるゆると腰を動かす。クラクラするほどの気持ち良さと、穏やかな心地良さに、ずっとこうしていられる気さえしていた。
「ほら、そろそろ動くぞ」
「は、い……」
 デュースが痛めた足に力を入れないようにと半ば持ち上げるようにデュースの腰をしっかりと掴み、ナカをかき混ぜるように腰を動かしていく。
「あ、あっああ、や、シルバーせんぱい……っ」
「……デュース」
「や、やあっ、あっ、そんな、やあ……っ!」
「デュース……っ!」
 だんだんと激しく腰を動かしていけば、頂点はすぐ目の前だった。
「あ、ああっ、せんぱい、せんぱい、ぼく、もう……っ」
「……くっ、ふっ……!」
 デュースの強い締めつけにつられ、自身も頂点へと達する。視界の端に捉えたデュースの手のひらへ指を絡めてぎゅっと強く握れば、同じようにぎゅっと強く握り返された。

 *
 
 事後のベッドで、デュースを抱き寄せる。すると、コイツは俺のものだと誰もいない周囲に牽制しているような心地がした。
 デュースは抱き寄せた俺に素直に身体を寄せ、舌足らずなままこんなことを言った。
「せんぱいは、満足できましたか?」
「……ああ。とても可愛かった」
「へへ、良かった……」
 ほほ笑むデュースの額にキスをしてやると、デュースはとろんとした目で俺を見上げた。
「疲れたろう。少し眠るか?」
「ん……せんぱいも、いっしょに」
「ふっ、甘えただな。……仕方ない」
 デュースに引っ張られるまま、腕枕をしてやる。とろりとした眠気がやってきて、今、この瞬間をデュースのために生きられる安堵に満たされながら、ゆっくりと目を閉じた。
 
*おしまい

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