ワンモアタイム

※ドルパロ(ギャラリーに置いてあるアイドルパロディの世界線のシルデュです。そちらを読まなくても読めるようには作っています)
・時系列:ドーム後、交際宣言前
・♡あり
以上大丈夫な方はスクロール↓

 

 

 今までいろんなことがあったけれど、あの日、二人の夢だったドームライブを経て、その夜に僕たちは初めて結ばれた。それからはユニットのパートナー兼恋人同士として、シルバー先輩のお義父さんとかほんの一部の人たちにだけ事情を伝えて、あとは二人きりになれるときだけこっそりとお付き合いを続けている。……のは、いいんだけど。
 シルバー先輩が、あれから全然手を出してくれない。シルバー先輩はキスが大好きなせいか、キスだけはたくさんしてくれるから、愛情がないわけじゃないと思うんだけど、それ以上のことは全然してくれない。僕はもっとくっついたり、イチャイチャしたりしたいのに。だって、せっかく曖昧な関係が終わって、恋人になれたんだから。あの頃よりもずっと、いろんなことがしてみたい。それはきっとシルバー先輩だって同じ気持ちだって思うのに。
 だって言うのに、あれからのシルバー先輩ときたら、一日に二、三度キスしたら、それで終わり。付き合う前はもっとたくさん、一日に五回も六回も、多い時には十回くらいキスしてたのに。もしかして僕は、飽きられてしまったんだろうか。でもそれならキスもしないよな……、いやいや、シルバー先輩は優しい人だから、キスだけは仕方なく付き合ってくれているだけかも、なんて思ったりなんかもして。
 つまるところ、僕はすごく不安なんだ。これは付き合ったあとで本人から聞いたことだけど、シルバー先輩ははじめ、生まれたときに本当のお父さんとお母さんが亡くなってしまって、それで自分を引き取ってくれたお義父さんの夢まで潰してしまったことで、自分がここにいてもいいんだ、って思えない不安から、隣にいると「ここにいてもいいと思える」僕に執着していた、らしい。それでキスしたり、恋人みたいな言動をしたりしていたんだって。そうしているうちに、僕を本当に好きになっちゃったんだって。だから、僕はこうも思う。お義父さんたちの代わりにドームの舞台に立つって夢を叶えて、「ここにいてもいいんだ」「自分が幸せになってもいいんだ」って、そういう自信を取り戻したシルバー先輩にはもう僕の存在は必要なくなって、シルバー先輩はもう僕を好きじゃなくなっちゃったのかもしれない、って。でも、自分から始めたことだからって責任を取ろうとして、まだ僕に付き合ってくれてるだけなのかもしれない、って。
 それはきっと、良いことなんだと思う。シルバー先輩が前を向けることも、自分が幸せになってもいいんだ、って思えることも。だから僕は、シルバー先輩が幸せなのなら、それをお祝いしなくちゃならない。だけどやっぱり僕はシルバー先輩が好きで、もっと一緒にいろんなことがしたくって、えっちなことも、そうじゃないことだって、たくさん。
 だから、僕は賭けに出ることにした。シルバー先輩に、僕のせいいっぱいの色仕掛けをしてみるんだ。正直、セクシーな雰囲気を纏うこともあるシルバー先輩に比べて、僕には全然色気なんてないけれど、それでも、もしちょっとでも好きだって思ってくれるなら、シルバー先輩だって何かしらのリアクションはしてくれるはずだ。
 付き合う前は「ひとりで過ごすのには慣れていないから」という理由で僕の部屋に入り浸りがちだったシルバー先輩は、今、僕と一緒に芸能人寮で同居している。というのも、ドーム後の告白でローズハート事務所長に僕たちが付き合ったのがバレて、大揉めしたんだ。そして、親御さんに迷惑をかけたくないという理由で芸能人寮に入っていたシルバー先輩が同じ理由で芸能人寮に入っていた僕の部屋に入り浸りで、ほとんど自分の部屋に帰っていなかったのもバレて、ローズハート事務所長に「経費の無駄じゃないか!」と怒られて、そんなに入り浸ってるのならもう二人で同じ部屋に住め、恋人なら問題ないだろう? と言われて同居することになったからだ。お陰で、事務所からは以前より入念にSNSへのアップロードをチェックされてる。まあ、うっかりファンの子たちに僕らの関係がバレてアイドルを続けられなくなるよりは、よっぽどありがたいけれど。
 部屋でイチャイチャするのも、なんとか許しはもらえている。もらえたっていうか、そもそも防音やセキュリティが高く設定されている芸能人寮以外でイチャつかれるとパパラッチされる可能性があるからむしろ中でするぶん外では決してするなってお達しがあったくらいだ。
 ……ともかく、僕が言いたいのは、ここは元僕の部屋(今はシルバー先輩との共同部屋)で、ここでカーテンや窓をしっかり閉めてイチャチャするぶんには、誰にも迷惑がかからないってことだ。
 今、シルバー先輩は少し買い物があると言って外に出かけている。気配に敏感な人だから、今日も追ってきたファンやパパラッチを上手に撒いて帰ってくるだろう。僕はその間に、いろいろなものを準備していた。……男同士でするときの、必要そうなやつを、いろいろと。通販で買おうかとも思ったけれど、僕自身で準備するのはスキャンダルの種になりそうだからと、事務所でスタッフを努めるクローバー先輩やダイヤモンド先輩がかなり便宜を図ってくれた。……言っておくが、僕から何かを相談したわけじゃないぞ。向こうの勘が良かったんだ。
 ドームの後、初めて結ばれたときは、確か仕事でもらった試供品の類でなんとかしたんだったと思う。あの日は気分も高揚してて、とにかく夢中で、ほとんど何をしたのかされたのか覚えられていないんだけれど、今回は違う。ちゃんと、シルバー先輩と恋人として、ハッキリと結ばれたいんだ。
 僕は洗面所の流し台にそれらを隠して、シルバー先輩の帰りを待った。

 程なくして、夕焼けが暮れた夜に紛れて帰ってきたシルバー先輩と食事を取る。いただきます、と向かい合って食べる食事風景にはもう慣れたものだ。
「デュース、留守の間に何かあったか? ……少し、箸運びがいつもより遅いようだが」
「い、いえ! 何もないです!」
「……そうか」
 危ない、危ない。いきなり僕の計画がシルバー先輩にバレてしまうところだった。鋭い人だから、気を付けないと。晩御飯を食べたあとは、一緒にお皿洗いだ。使った食器や調理器具を洗って拭いて、片付ける。それからはちょっとゆったりして、順番にシャワーを浴びる。
「僕、読みたい雑誌あるので、今日は先輩がお先にシャワーどうぞ!」
「分かった」
 シルバー先輩をシャワー室に追いやり、僕は覚悟をキメる。雑誌が読みたい、なんて嘘だ。いざというときのためにベッドを軽く整えておき、机の上には事が終わったあとに飲むためのペットボトルと水を用意しておく。そして、雰囲気を出すために照明の明るさを気持ち、ほんの少しだけ絞っておいた。……なんか僕、やる気満々みたいじゃないか? それはそうなんだけど、これが見つかったらと思うと、だんだん恥ずかしくなってきた。
「上がったぞ」
「ひゃい!」
 お風呂上りのシルバー先輩が、上半身裸のままで部屋をうろつく。そうなんだ、こういうのもあって、僕はいろいろしたい気持ちになってるのもある。シルバー先輩は、とても綺麗な人で、その見た目を好きなファンもたくさんいる。でも、先輩はそんな自分の容姿にかなり無頓着だ。僕がシルバー先輩のそういう姿をこんな目で見ているのだって、知ったらきっと驚くだろう。
「じゃあ、僕もシャワーもらいますね!」
「ああ」
 いよいよだ。僕の計画が始まるのは、ここからだ。シャワーを浴びながら、隅々まで身体を綺麗にする。自分で後ろをほぐす……のは、なんだか体勢が難しくて、うまくできなかったので、せめてと思い受け入れ口のまわりをマッサージしておいた。
 シャワーを浴び終わり、服を着る。と言っても、今日着るのは、下着さえなしの薄いYシャツ1枚だけだ。これからするのは色仕掛けなんだから、布は薄くて、露出は多い方がいい、と、思う。……たぶん。正直言ってこういうのが先輩の好みかは、分からないけど。
 洗面台の下から隠しておいた道具たちの袋を持って、僕はシャワールームの扉を開けた。いざ、出陣だ。

 *

『僕もシャワーもらいますね』と告げて、シャワールームの奥に消えたデュースの姿を見送った。今頃デュースのあの細い肩を叩いているであろう水音に、鼓動がどきりと跳ねるのを感じる。……デュースと共同生活をするようになってから、こんな風に小さく鼓動が跳ねることが増えた。俺は、情けないことに、ドームライブが終わったあと初めて結ばれてから、デュースのことを前よりも意識するようになってしまったのだ。心も、身体も。
 しかし、そんな俺の身勝手な欲でデュースにやたらめったらと負担をかけるわけにはいかない。だから、以前よりもキスの回数だって、触れ合いの限度だって、意識して抑えている。以前の俺はなぜあんなにも躊躇も際限もなくキスができたのか、と思うくらいには。
 余計な意識を振り払おうとして、部屋の様子に目をやる。机の上には、デュースが置いたのか空のグラスと水の入ったペットボトルが置かれていた。なるほど、風呂上がりの水分補給は大事だな。どうやらデュースは俺がシャワーを浴びている間に俺のベッドまで整えてくれていたようで、気が回ることに感謝をした。雑誌を読みたいと言っていたのに、それを後回しにしてまでやってくれたのか。ありがたいことだ。
 そこまで考えたところで、部屋の照明がテレビの灯りに比べて少しだけ暗くなっているのに気付いた。眩しかったのだろうか? だが、部屋の中の明るさが違うと目には良くない。机の上に置いてあったリモコンを取り、テレビを消す。すると、そのタイミングでデュースはシャワー室から姿を現した。
「……」
 なんだか、いつもと違う。シャワーいただきました、という明るい声が聞こえない。不思議に思いそちらへ視線をやろうとすると、その前にシャツ一枚のデュースがソファに座る俺の膝に跨った。……なん、だって?
「シルバー、せんぱい」
 デュースは風呂上りの上気した頬と、潤んだ目で俺を見上げる。デュースが挟む太ももと尻の感触が、ダイレクトに脚へと伝わってきた。まずい。この状況は、非常にまずい。このままだと、俺の理性が崩れ、我慢が利かなくなる可能性が非常に高い。それは良くない。まずは一度、デュースに退いてもらわなくては。
「デュース、退くんだ」
「……嫌です」
 どうしたことか、今日のデュースは俺の言うことを素直に聞いてくれない。一体、コイツに何があったというのだろうか。邪な欲望よりも、純粋にデュースのことが心配な気持ちが上回り、少しだけ落ち着いてその頬に手を伸ばす。
「何か、あったのか?」
「シルバー先輩……」
 デュースは俺の伸ばした手を取り、それに頬をすり寄せながら、はあ、と熱い息を吐いた。俺の心臓が、どきりとこの場に似つかわしくない音を立てた。
「こんな風にしても、僕のこと、なんとも思いませんか? 本当に、退かなきゃだめですか……?」
 そこまで言われて、ようやく俺は理解した。これはデュースによる色仕掛けなのだと。そして混乱した。なぜ、今、急に?
「……なんとも思わない、ということはない。だからこそ、退いてほしいと思っている」
「どうして……」
 デュースの腰を、ぐっと抱き寄せた。言葉で伝えるよりも、この方が早い。
「えっ、あ、先輩、勃って……」
「……そういうことだ。お前のそんな姿を見るだけで、こんなことになってしまう。そういう俺の身勝手な欲望で、お前に負担をかけたくない。分かったら――」
 降りてくれ、と続けたい言葉はデュースの唇によって遮られた。キス、されている。ぷは、と息継ぎをすると、デュースはそのまま真っ赤な顔で俺を睨んだ。
「先輩、こういうことがしたいと思ってるの、自分だけだと思ってませんか。僕だって、もっと先輩に触りたいし、触ってもらいたい。抱きしめたり、キスしたり、もっといろんなことがしたい、って……。せっかく、恋人になれたんだから、って、僕も思ってるのに……まだ、我慢しなきゃだめ、なんですか?」
「……デュース」
 クラクラする。ふわりとしたシャンプーの香りが、デュースの髪から香った。きっちり閉じられたカーテンの向こうでは、きっと夜景の合間に走る車の群れがクラクションを鳴らしている。まるでそれは俺の頭の中に鳴る警報によく似ていると思った。その警報を、俺はあえて無視することに決めた。もう、この目の前の色香に血迷ってしまいたいんだ。それくらいには、デュースに参ってるんだ。
「やっぱり嫌だと言っても、途中でやめてはやれないぞ」
「……自分で誘っておいて、言うわけないです」
「そうか、なら……」
 デュースの頬を片手で包み、顔を引き寄せてキスをする。ん、と気持ちよさそうな声がデュースの唇から漏れだした。俺の手は、ずっとこのときを待っていたとでも言うかのようにデュースのYシャツのボタンを外し、その中へと滑り込んでいった。

 *

「先輩、シルバー先輩……っ、あ、そんな、揺らしたら、だめ……っ」
「ふっ、気持ちいいな? デュース」
 ソファに座ったまま、膝の上のデュースをゆらゆらと揺する。その度にデュースは気持ちよさそうな声をあげ、俺の肩口に縋りついてきた。
「せんぱい、シルバーせんぱい……っ」
「ああ、どうした?」
 耳元で囁く度に、デュースのナカがきゅっと締まる。その度に達さないように耐えるのが少し大変だが、ひたすらに気持ちよさそうなデュースを見れば、その辛さも飛んでしまう。
「あ、なんか、も、さっきから、こうやって、揺すられてると、何回も、んっ、いちばん気持ちいいのが、きそうでこなくて……っ、あ、ん、も、気持ち良くて、だめ……っ」
「そうか」
 縋りつくデュースの頭をぽんぽんと撫でる。デュースが言いたいのは、達せそうで達せないまま、何度も気持ち良くなってしまっているということらしい。……なんてことを言うんだコイツは。デュースの色気に、俺の方がうっかり達してしまいそうなのをぐっと我慢し、デュースに囁く。
「それなら、想像してみろ。今、お前の中には、俺のものがある。それが、お前の気持ち良い部分に、ずっと触れてるんだ」
「あ……っ」
 デュースは素直に想像したようで、俺の膝の上に置いた太ももをがくがくと震わせる。
「これは想像じゃなく、現実に起こってることだぞ。……もっと集中して、それを考えてみろ」
「う、あ、ああ……っ」
 デュースはかなり感じ入っていて、俺の首に回した腕にも力が入っているが、まだ達するには足りないようだ。俺はデュースの腰を持ち上げ、少し角度を変えて、またデュースの身体をゆるゆると揺さぶる。
「デュース、ほら……また、揺らすぞ」
「や、だめ、シルバー先輩っ、そこは……っ、あ、だめ、だめ……っ」
 デュースは俺の喉元に縋りつきながら、いやいやと首を振っている。髪が直接肌に触れて、くすぐったいな。
「や、やだ、やぁっ、シルバー先輩、これ、これずっと気持ちいい、ずっと気持ちいい……っ」
「気持ちいいなら、いいだろう」
「や、やぁ、あっ、きちゃう、シルバーせんぱい、きちゃう……っ、やだ、僕、まだ先輩としてたいのにぃ……っ」
「くっ、お前と言うやつは……!」
 いちいちいやらしいデュースの言葉に、どうにかこうにか機会があれば達しようとする己を御し、デュースの望みを叶える。
「……なら、出来るだけ我慢だな。頑張れるか? デュース」
「う、あ、は、はい、僕、我慢する、します……っ」
「ほら、頑張れ、デュース」
「うぁ……っ、い、いい、やだ、だめ、がまん、うぅ、もっ、シルバー先輩、シルバー先輩ぃ……っ!」
「もっと俺としていたいんだろう?」
「ん、はい、そ、です……っ、僕、先輩と……っ、や、ぁあ、も、だめぇ……っ」
 達しそうになったデュースの先端を、軽く抑える。これで一回は達するのを我慢できるはずだ。
「ほら、我慢だ」
「うあ、あん……っ、や、シルバーせんぱい、も、がまんやだぁ……っ!」
「もっとしてたいんじゃなかったのか?」
 そのままデュースの先端をいじっていると、デュースはもう嫌だと首を振った。
「もう、もいい、も、イキたい……っ、イかせて、せんぱい……っ」
「ふっ、ずいぶんねだりが上手なことだ……っ」
 口では余裕ぶっているが、そろそろ俺も限界だ。デュースのものを上下にしごくように手の動きを切り替え、後ろを強く締めさせていく。
「……一緒に達しよう、デュース」
「あ、は、はい……♡」
 デュースの額に額を合わせ、そのまま、デュースのものをしごき始める。俺の手の動きに合わせて、デュースの後ろがきゅっと強く締められていく。やがて刺激に耐え切れずデュースが達した瞬間、俺のものもデュースのナカで思い切り強く締めつけられ、ほぼ同時に達した。
 ぜえ、はあ、とソファの上で二人の荒い呼吸が合わさる。すっかり腰も力も抜けたデュースは、俺に寄りかかりながらこう言った。
「シルバー、せんぱい……。ぼく、やっぱり、せんぱいのこと、大好き、です……」
「……ああ、俺もだ。デュース……お前のことが、大好きだ。愛してる、デュース」
 俺のものを抜き、デュースを抱きしめてやる。するとデュースは嬉しそうにへへ、とほほ笑むのだった。
 ――こんなに幸せそうな顔が見られるのなら、たまにはこうして手を出してやるのも悪くないと、心の片隅でそう思いながら。

*おしまい

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