Your Affection - 2/2

*なんかバーテンパロとしては物足りなかったので、あとからつけ足したおまけです。

【Your Affection:後日談】

 あれからシルバーさんは、すごく優しくなった。最初にバーで出会った頃、僕をからかって翻弄していたのが嘘みたいに。
 それが素の、ありのままの自然体のシルバーさんの愛情なのかもなって思って、それも嬉しいんだけど、ただあの時のドキドキ感みたいなものも僕はけっこう好きだったから、なんだか少し淋しいなって気もして。
「最近の優しいシルバーさんも好きですけど、前みたいにドキドキさせられるのも、嫌いじゃなかったなーって、今思うと思うんです」
 と、言ってしまったが最後。
「……へえ?」
 シルバーさんは鋭く据わった目でこっちを見ている。あ、やべ僕なんかシルバーさんの変なスイッチ押したっぽい!!
「じゃあ、デュース。こっちにおいで?」
 綺麗な笑顔で楽しそうに笑うシルバーさんに、あ、これ逆らっちゃだめなやつだと直感した僕は、素直に従うことにした。

 ソファに近づくと、シルバーさんは楽しそうに笑いながら言った。
「じゃあ、まずは軽くドキドキ……してみるか?」
 デュースから、キス、してごらん? できるだろ? と、シルバーさんは綺麗な人差し指で自分の唇を指差す。
 僕は、こんな形でも大好きな恋人からのおねだりなのには違いないと、シルバーさんの前についた。
「……目、閉じてくださいよっ」
「断る。こんな可愛い顔、見逃してたまるか」
 仕方ないなと、僕の方は目を閉じながら、ずっと僕の方をじーって見てくるシルバーさんの口にキスをしてあげた。
「よくできました」
 シルバーさんはそう言って僕の頭を撫で、それから何かを取り出す。
「ご褒美をどうぞ?」
 それは、包み紙の剥かれた一粒のチョコレートだった。手のひらの真ん中に乗せて差し出しているということは、僕にこのまま、手ずから食べろと言ってるのだろう。
「……シルバーさん、僕のこと犬かなんかだと思ってますね」
「俺の可愛いお巡りさんだと思っている」
 この人ほんとに僕をいじめるの好きだよな、めちゃくちゃ楽しそうだ、と呆れまじりに思いつつ、仕方なく、あ、と口開いて手を使わずに手のひらの上のチョコを食べてしまうと、満足そうにシルバーさんは呟いた。
「……やっぱり、首輪と鈴も一回くらいはつけてみたいな。何色がいいか……」
「やっぱり犬だと思ってますよね!?」
 僕が膨れると、思っていない、とシルバーさんは慌てて僕を後ろから捕まえるように抱きしめた。
「思ってない、思ってないから。仕方ないな、お詫びにこれで許してくれないか?」
 そう言って、シルバーさんは僕の耳元で、好きだ、と呟く。
「ず、ずるいですよ……」
 こんなことされたら、つい許してしまう。でも、真っ赤になった僕をまだ、シルバーさんは愉しそうに見つめている。
「ん? そうか? ……でもまだ終わりじゃないぞ、デュース」
「え? ……ひゃっ!?」
 耳に息をふう、と吹きかけられ、僕は驚く。シルバーさんはますますぎゅっと僕を抱きしめる腕に力を込めて、そして言った。
「これから、こうやって……好きだって100回言ってやるから。終わるまで耐えてみせような、俺のお巡りさん?」
「や、も、もう十分です、十分……っ、し、シルバーさん……っ!! ちょ、ちょっと! くすぐらないでくださいよっ、もう……!!」
 抱きしめられたまま今度は脇腹をくすぐられ、僕は身体をよじる。こ、これってまさか……!?
「好きだ、デュース。さあ、それじゃあ始めようか。100回、ちゃんと数えておくんだぞ? 忘れたら最初からやり直し、だからな」
 そうして、シルバーさんの告白といたずらの繰り返しは、本当に100回以上の好きだを言い終えて、僕がゆでダコみたいになるまで続き……。僕は、迂闊なことは言うもんじゃないな、と思ったのだった。

*おしまい

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