ほしのかずだけ

*神様シルバー×人間デュースのパロディのお話の番外編です。本編読んでないと意味が分かりません。
*年齢操作(シルバー???歳、デュース24歳くらい)。本編から3~4年後のお話です。
*相変わらずやりたい放題です。
*オリジナルキャラクター(シルデュの子)が登場します。
 
以上すべて大丈夫な方はスクロール↓

 

 

 
 シルバーと出会い、嫁入りしてから、4年の月日が経った、2月も半ばの冬の日のこと。
 僕も警察官として、それなりに仕事に慣れてきて、神社との関係も、シルバーとの関係も順調で。
 だから、そろそろいいんじゃないか、という話になった。
「そろそろお前と俺の間にも、やや子のひとりも、もうけてみるか?」
 僕はそれに、少し恥ずかしかったけど、うなずいた。僕も、もう、シルバーとの愛と家庭の証を授かることに、抵抗はなくなっていたから。
「では、今宵はそのように。少し神力を吹き込むから、もし身体が耐えられないようであれば、そのときは無理をせずすぐに言え」
 そうして、僕はシルバーと、赤子を授かるための特別な一晩を過ごし。翌日。
「うぐっ……!?」
 朝から、壮大な吐き気に襲われた。シルバーが僕の様子を見て、無事懐妊したようだな、と頷く。
 そうして、苦しいかもしれないが本堂へ行くぞ、何、今少しの辛抱だ、と僕を本堂へと連れて行った。
 シルバーが宮司さんを呼んで本堂の鍵を開けてもらい、僕も宮司さんもその中へと呼ばれる。
 それからシルバーが宮司さんに儀式を手伝えと言い、宮司さんに何かの呪文を唱えさせてから僕へと手をかざすと、僕の身体から、光る珠のようなものが取り出され、僕の吐き気は消えた。
「よくやった。俺たちの子だ。そうだな、毎日神力を注いで可愛がれば、あと三月もすれば、生まれ来るだろう。予定日は五月の末だ」
 宮司さんは、神の子が誕生します貴重な機会に立ち会わせていただき、感謝いたしますとシルバーに謝辞を述べた。
 シルバーはデュースにもその期間、本堂の鍵を預けておくように、と言い。宮司さんはそのように、と頷いて僕に鍵を預けた。
「デュース。もしお前の暮らしに暇があれば、そのときはこの珠に声をかけ、腕に抱き、可愛がってやってくれ」
 腹の中で育てられない代わりに、そうすることでこの子は愛情と神通力を受けて育つ、とシルバーは言った。
 僕は分かった、と頷き。さっそく光の珠を撫でてみる。目を凝らすとうっすら中にいる赤ちゃんが見えるようで、なんとなく、ふわっとした暖かい気持ちになった。
「可愛いな……。早く、会えるといいな」
「ふっ。名前なども、今のうちにじっくり考えておくといいぞ。恐らくだが、この子の成長は早いからな」
「そうだよな! 名前、大事だし……どんな名前がいいかな……。なあ、お前はどんな名前がいい?」
 光の珠は、たまに中から蹴られ、揺れ動く。僕たちはそれを見て、元気な子だな、と笑う。
 そうして、時間があれば会いにいき、腕に抱いて、撫でてやって。時には神社の中を散歩して、植物や景色なんかを見せたりして。
 光の珠の中で育つ我が子を可愛がっているうちに、3か月が過ぎた、5月25日のことだった。
「最近よく動いてるな~。もうすぐかな? もうすぐ会えるな! 5月中に生まれたら、お前の名前はな……」
 そう語りかけながら僕が光の珠を撫でていると、光の珠が激しく揺れ動き、ひび割れ始めた。
「えっ、シルバー!? これ大丈夫なのか!? なあ!!」
 僕が慌ててシルバーに声をかけると、シルバーは、大丈夫だ、見ていてやれと僕の肩を抱いた。
「……そら。生まれるぞ」
 とうとう光の珠が眩く光って割れ、その中からは。殻を破ったばかりの雛のように、きょとんとして辺りを見回す、小さな赤ちゃんが出てきた。生まれたばかりなのに、もう髪の毛がふさふさで、大きいんだな。
「生まれたのか! ふはっ、初めまして、だな? だ、抱いてもいい、かな?」
「抱いてやれ。お前の子だ。俺の子でもある」
 シルバーの言葉に、頷いて抱き上げると、赤ちゃんは僕の頬に小さな手を伸ばして、言った。
「かかしゃま」
「えっ、もう喋れるのか!? 生まれたばかりだぞ!?」
「言ったろう。神の子は成長が早い、と。一か月もしないうちに青年になるぞ?」
 どら、この父にも抱かせてみろ、とシルバーが言うので、僕は赤ちゃんをシルバーに渡す。
 シルバーは満足そうに赤ちゃんを抱き、人差し指で握手をすると、挨拶をした。
「初めまして、よろしくな。まずは、お前の名前を教えてやろう。……サツキ、それがお前に与えられた名だ。5月に生まれたらこの名にしようと、デュースと俺の、ふたりで考えていたのだぞ?」
「ととしゃま」
「ああ、お前のとと様だ」
 僕はそんな赤ちゃん……いや、サツキとシルバーを見て、なんていうか。今までにないくらい、すっごく暖かい気持ちになった。
 ……これが、僕の、僕だけの家族ってものかあ。
「では、デュース。産湯の用意をしてやろう。身を清めてやらねば」
「わ、分かった! すぐ準備するっ!!」
 そうしてバタバタと生まれたばかりのサツキを風呂に入れたり、おくるみにくるんだりして。その日は過ぎた。
 で、翌日。
「昨日はまだ布団の上で寝転がってて大人しかったのに、もう、ハイハイしてるな……。成長が早すぎる……」
「恐らくだが、明日には歩き出すぞ。今日あたり御母堂に孫の顔を見せてやったらどうだ?」
 そうだな、大きくなる前に写真とかいっぱい撮っておいて、母さんにも顔見せてやらないとな、と僕は頷き。
 そして、仕事が終わった後、母さんに連絡すると、小さな子を連れていくのは大変だろうからと母さんの方が神社に来てくれることになった。
「久々だな、御母堂。息災か? この子はサツキだ。男児だぞ。貴方の孫でもある、可愛がってやってくれ」
「あらあら、まあまあ! 可愛いわね! サツキくん、おばあちゃんよ?」
 いろいろなことがあったけど、こんなに早く孫の顔を見られるとは思わなかったわ。
 そう言って母さんはサツキと握手して挨拶を交わし、僕はついでに説明する。
「サツキは神様の子だから、一か月くらいでもう僕らくらいに大きくなっちゃうらしいから、この小さいのは今だけなんだ。存分に可愛がっといてくれ!」
「あら、じゃあ写真のひとつも撮っておこうかしら!」
 そうして母さんと僕らはサツキとの家族写真を撮る。シルバーも人間の姿に顕現してくれたので、無事一緒に映れた。
 それから、三日目。シルバーが言っていた通り、本当にサツキはよちよちと歩き出して。
「うう……。あまり早く大きくならないでくれ! もっと僕に抱っこされて、ほっぺをぷにぷにされていてくれ……!」
「だそうだが、サツキ。どうする?」
「や! さっくん、おっきくなる!」
「嫌か、そっか……。嫌なら仕方ないな……」
「まあ、成長速度は本人次第でどうにかなるものではないからな。そのうちサツキが満足するまで大きくなれば、成長も止まるだろう」
「サツキ、お前どれくらい大きくなりたいんだ?」
「あれ!」
「ご神木くらいは、さすがにやめた方がいいと思う。お家に入りきらないぞ」
「んー……じゃあ、ととさまくらい!」
「ふっ、そうか。俺くらい、か。頑張るんだぞ。お前が俺の背を越す日を楽しみにしている」
 そうして、幼いサツキと過ごす月日は過ぎていき。一月が経った頃。
「父上、母上。今朝の境内の掃除、終わりました」
「ほんとに大きくなったなあ……。偉いぞ、サツキ……」
「かか様……いえ、母上。くすぐったいです」
 だいぶ大きくなって、17歳くらいの少年のような姿になったサツキにも、まだ赤ちゃん時代が名残惜しくて頬ずりする僕に、サツキはくすぐったそうに目を細めた。
「ふっ。サツキ、お前も大きくなったな。そろそろ神通力を使う修行を始めてもいいぞ?」
「本当ですか、とと……父様! 僕、何をできるようになるんですか?」
「まずは身隠しの術からだな。人ならざる者は、そう簡単にいつでも姿を現してはならない。お前も現人神として、それくらいはまず覚えなくては」
「分かりました、励みます!」
 そう言ってしっぽを振る子犬のように、サツキはシルバーに懐く。シルバーもよしよし、俺は厳しいぞと言いながらも、サツキの頭を撫でて、猫かわいがりしてるのがバレバレだ。
「それじゃ、僕は仕事に行ってくるから。修行頑張れよ、サツキ、シルバー!」
「はい、行ってらっしゃいませ、かか様!」
「ああ。今日も、お前の帰りを楽しみに待っている。行って来い、デュース」
 そうして、僕は今日も神社から警察署へ出勤する。先日生まれた子が無事大人になりました、と署長に報告したら、署長は何か言いたげにしたけど、それを何か呑み込んで、……そう、良いことだね。おめでとう、と言ってくれたが、成長速度がおかしいだろどうなってんの、と。エースにはツッコミを入れられたのだった。

*おしまい

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