The Milky Way

※ドルパロ(ギャラリーもしくは小説本棚に設定が置いてあるアイドルパロディの世界線のシルデュです。そちらを読まないと意味が分からないことがあるかもしれません)
※時系列:ドーム後、交際宣言後
※パロディにつき一部呼び名変更あり:リドル寮長→事務所長、トレイ先輩→トレイさん、など)
※リドエー要素あり

以上大丈夫な方はスクロール↓

 クリスマスよりも少し早い、22日。今、俺たちはハーツラビュル芸能事務所のメンツを揃えたクリスマスパーティに参加していた。とは言ってもさほど大きくはない店を貸し切っての忘年会を兼ねた食事会という形で、気軽なものだ。それぞれ適当なテーブルについて、仲の良いメンツで豪華な料理の飲み食いをしている。そんな中、デュースと同じ座敷に座っていた俺にエースが声をかけてきた。
「ね~、二人はクリスマスどう過ごすの?」
「24日のクリスマスライブを終え次第、それぞれ実家に帰って25日を過ごす予定だ」
 俺が答えると、エースはそっかと返事をした。
「んじゃ二人でデートとかはしないの?」
「それは……」
「いいや。明日はそのつもりでいる。……そうですよね、シルバー先輩?」
「ああ」
 エースの問いに俺が答える前に、デュースが会話に割って入る。
「お、早めにデートするんだ? いいね。オレは逆! 早めに家族の方に帰って、クリスマスはデートする予定!」
「とうとう、リドル事務所長がOKしてくれたのか?」
 そう尋ねると、エースはふふんと鼻を鳴らす。
「普段ならともかく、この季節は甘い苺のショートケーキがたっくさんあるからね! スイーツバイキング連れてってくる!!」
「なるほど。確かにローズハート事務所長は甘いものに目がなかったな」
 俺とデュースが二人で納得すると、エースはでしょ、と得意げに笑った。

 その後も、他の所属アイドルや事務所の所属スタッフたちと歓談を続ける。ここにいるのはみんな、俺たちが交際していると告げても態度を変えずにいてくれた、快く暖かい、大事な仲間たちだ。
 やがて宴もたけなわになり、リドル事務所長が終わりの合図を切り出す。
「さて、そろそろみんな食事も楽しみ尽くしたところだろう。来年もよろしく頼むよ! それでは、各自解散!」
 その合図で、それぞれ急いで皿を空にしたり、コートを着たりと帰り支度を始める。
「僕たちも帰りましょうか、先輩」
「そうだな」
 リドル事務所長に軽くご馳走様の挨拶をして、店を出る。ドアを空けた瞬間、夜空に白い息が広がった。
「寒いな」
「ですね! 早く家に帰って暖まりましょう! あ、でもコンビニにだけちょっと寄っていきましょうね!」
 デュースと共に歩き出し、店に寄ったあと、芸能人寮のマンションのひと部屋へと帰る。
「はあ、つっかれた~! でもご馳走おいしかった!!」
 部屋へ入るなり、デュースはソファへとダイブする。
「そうだな。もう、すぐにシャワーを浴びて寝てしまうか?」
 尋ねると、デュースはまさか、と笑った。
「明後日はライブだから、明日の夜は早く寝なくちゃいけないし……。二人で夜更かしできるのは、今日だけなんですよ!」
 デュースはソファから身体を起こし、先輩ここここ、と自分の隣をぺしぺしと叩いて俺を呼んだ。
「そうだな。なら、少しだけ夜更かししてみるか」
「先輩、眠くない?」
「できるだけ頑張る。もし半端なところで寝たら、起こしてくれていい」
 そう言ってデュースの隣に座ると、デュースはへへ、と嬉しそうに笑った。
「あっ、そうだ! とりあえずツーショ撮りましょう!!」
「ツーショットか?」
「はい! ファンの子たちに、クリスマスちゃんと二人で過ごしてるぞ、って伝えるために!」
 そう言うとデュースはコンビニで買った缶入りの炭酸ジュースや菓子を適当にテーブルに並べ、俺を呼ぶ。
「こっち来て、はい、チーズ!」
「……」
 パシャリと音がして、スマートフォンの画面に俺たちの映った画像が映る。
「未だに、改めて写真を撮られるのは慣れない」
「あはは。でも、先輩は立ってるだけでも絵になりますもんね」
 デュースはケイトさんに了承を取り、それをブログにアップロードするようだ。
「『早めの二人クリスマス』……っと! これでもう、週刊誌にBL営業だなんて書かせませんからね!!」
 どうやらデュースは、俺たちが交際宣言をした後、それは話題作りのための営業的な交際だとすっぱ抜かれたのを未だに気にしているらしい。事実がそうでないのなら、あまり気にする必要はないと思うのだが、まあ、交際宣言以降も応援してくれているファンは俺たちの仲睦まじい様子を心待ちにしてくれているようだし、デュースとファンの間で良いサイクルが回っているのなら俺が何か改めて止めたりする必要もないだろう。
「『メリークリスマス! 二人でゆっくり過ごしてね』……みんなお祝いしてくれてるみたいだ。よーし、頑張ってゆっくり過ごしましょうね、先輩!」
「……頑張ったら、ゆっくりにはならないんじゃないか?」
「あ、ほんとだ!」
 デュースは笑い、そしてスマートフォンを横に置く。
「さ、スマホもお仕事もこれでおしまい。あとは先輩とゆっくり、ですね!」
「ああ」
 デュースがよし、二人だけの二次会だ! と気合いを入れたところで、コンビニの袋の中に忘れ物をしているのが目につく。
「デュース。一番のお楽しみを忘れているぞ。これ、飲みたかったんだろう?」
 そう言ってシャンメリーの瓶を取り出すと、デュースはホントだ、と言ってまた笑った。
「グラス取ってきます!」
 デュースはグラスと氷のついでに、もうひとつ何か取ってきたようだ。
「アロマキャンドルも取ってきました! ちょっとだけ部屋の照明しぼって、キャンドルと音楽つけましょう!」
 そう言ってデュースはスマートフォンから適当なクリスマスソングを流す。洋楽や流行りのポップスなどがランダムに入ったプレイリストのようで、もしかしたら僕たちの曲も混ざっているかもしれませんねとデュースは言った。
「音楽、よし! キャンドル点火、よし!」
「シャンメリーよし、……だな?」
 デュースがその辺りを準備している間に、グラスに氷を入れて金色のシャンメリーを注いでやっておいた。グラスを渡すと、デュースはありがとうございますと笑う。
「それじゃ、乾杯ですね。……メリークリスマス、シルバー先輩!」
「メリークリスマス、デュース」
 カランと氷の揺れる音がして、グラスの縁がかち合う。デュースはそのままくっとひとくち、シャンメリーを口に含んでみせた。
「ん~、おいしい! やっぱりこういうの飲むと、クリスマスだ~って感じがしますね!」
「そうだな。確かに、クリスマスにくらいしか飲む機会はないかもしれない」
 あとで夜になって空気冷えてきたらノンアルのエッグノッグも作りますね、とデュースは言う。クリスマスの気分に浮かされているのか、今日のデュースはとても機嫌が良い。俺もつられて、気分が良くなってきてしまう。
「そうか、それは楽しみだ。お前は卵を使った料理に関しては凄いからな」
「へへっ、腕によりをかけますよ! でもまずはシャンメリーとおつまみからですね!」
 そう言ってデュースは買ってきたおつまみのひとつである、チーズに手を伸ばす。ひとくちにチーズとは言っても、ひとつひとつがキャンディサイズになっているものや、クラッカーのように焼かれたものなど、いろいろな種類を贅沢に買ってきてある。
 その他にも、クラッカーやナッツ、ドライフルーツなど、宴会帰りの二人で食べるには少し多すぎるような量まで準備した。贅沢な夜だ。
「んー、うまい! 将来は僕らもお酒とか飲みながらこういうの食べることもあるんですかね」
「あるかもしれないな。親父殿が、空きっ腹に酒は良くない、地獄を見るぞと言っていたから」
「確かに。僕の母さんも結構飲む方ですけど、だいたい食べ物と一緒ですね。あれ理由があったんだなあ」
 チーズやドライフルーツを適当につまみながら、デュースとただ取り留めのない会話をする。それだけでも、暖かなクリスマスの夜を過ごせた気分だ。
「あ、そうだ! プレゼント渡しときますね、どうぞ。マフラーです」
「防寒具か。……偶然だな、俺もお前に防寒具を用意していた。耳当てだ」
 しばらくそうして駄弁っていると、デュースがやがてシャンメリーのグラスを傾けながら、とろんとした上目遣いでこちらを見つめる。
「先輩。シルバー先輩」
「どうした?」
「……なんか、こうやって、薄暗がりにキャンドルつけて、お酒……じゃないけど、シャンメリーのボトル開けて、ってやってると……なんだかちょっとだけ、オトナになった気分しません?」
 そうなのか、と返事をしていると、デュースが俺の身体へ覆いかぶさるように近付いてきた。
「デュース?」
「ん……」
 デュースは俺の肩に顔を埋める。なんだか、その身体が熱いような気がするが、もしかしてチョコや飲料にアルコールなど混ざっていたのだろうか? その答えは、デュースからすぐに与えられた。
「せんぱい、口開けて」
 口を開けると、デュースから丸いチョコを放り込まれた。噛み砕くと、独特の味を持った液体が口の中に広がる。チョコレートボンボンか。以前調べたとき、こうした洋酒入りのチョコレートを食べたり購入しても、法的には問題がないとは知っていたが……。しかしこのわずかな量で、デュースは酔ってしまったのだろうか?
「ん、」
 チョコレートボンボンを液体ごと飲み込んだところで、デュースがくちづけてくる。そのくちづけは深く、甘く、ほのかにアルコールの香りがして、俺まで酔ったようにクラクラしてしまいそうだ。だが、デュースは本当にクリスマスの雰囲気にも飲まれているのか、すっかり酔ってしまっているようで、俺の耳元でこんなことをささやいた。
「シルバー、このまま僕を寝せるわけない、よな?」
 ……困ったな。ここまで煽ってくるのは、本当に珍しいことだ。だが、そうまで言われてしまっては、俺にも退く選択肢などない。
「いいだろう。……今宵は、どうしてほしい? お前の望むこと、すべて与えてやる」
 そう告げてデュースを抱き寄せ、深くくちづければ、二人きりの聖夜が始まった。
 ベッドにすら連れて行かず、デュースをその場で押し倒し、服の裾から手を入れる。その間もデュースから求めるように何度も深くくちづけられる。
「好き、先輩」
「……シルバー、と、呼んでくれるんじゃなかったのか?」
「ん、シルバー、好き……」
 明日にはまたすぐに元に戻っているのだろう呼び方を、今宵の夢の間くらいはと訂正させる。いつか当たり前のようにそう呼んで欲しいが、デュースがそれにはまだ早いと思っているのなら、こうして時折呼ばれるくらい徐々にでもかまわないだろう。
 ……それも『特別』な呼び方という感じが増して、悪くはないしな。
「キス、もっと」
「そう急くな。……ちゃんとじっくり相手してやる」
 つい、と指先でデュースの身体のあちこちを焦らしながら、何度もその唇へとくちづけてやる。そんな俺の頭を撫でながら、デュースは俺のことをやはりとろんとした目で見上げてくる。
「せんぱ……、ん、シルバーは、して欲しいこと、ない……のか?」
「……そうだな。なら、今宵の間は、そうやって、敬語を外して喋ってもらおうか。そして、幾度も呼んで欲しい、俺の名を。……シルバー、と」
「それだけで……?」
「それが嬉しい」
 もう一度デュースにくちづけを落とすと、デュースの方からちろりと唇を舐め、舌を入れてきた。応えて口内を弄んでやると、デュースの目が潤んでいく。
「ふっ。……キャンドルの灯かりが反射して、とても綺麗だ」
「……シルバー……」
「もっと」
 そう言いながらも、デュースの口にまたくちづける。
「ん、もう。キスしてたら、呼べないだろ……」
「ふっ、すまない」
「……別に、いい。シルバーのキス、好きだから」
「そうか。なら、もっとしてやろう」
 何度も、何度もくちづける。わずかなクリスマスソングが流れる中、冷たい寒空に浮かぶ星たちと、テーブルに置いたキャンドルの薄明りだけが俺たちの夜を照らしていた。
 
*おしまい

※タイトルは魔王魂さんのボーカル楽曲『The Milky Way』からお借りしています。

送信中です

×

※コメントは最大1500文字、10回まで送信できます

送信中です送信しました!