*現パロ(微ホラー)な雰囲気です
*神様シルバー×人間デュースのパロディのお話
*年齢操作(シルバー???歳、デュース20歳くらい)
*相変わらずやりたい放題です。
*神様シルバーに魅入られるデュースが書きたかっただけなのでそれっぽいこと何も起こらないです。
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――通りゃんせ、通りゃんせ この子の七つのお祝いに、お札を納めに参ります――
小さい頃、そんな歌を聞きながら、どこかの神様に、七五三のお札を納めに行った、ような気がする。
確かその頃、よく一緒に遊んでいた子もいた、気がするけど。……なんだか、何故だか。よく、思い出せない。
まあ、そんなことはいい。僕ももうすぐ、新社会人だ。この3月から、ひとりぐらしも始まる。
高校を卒業してすぐ入ることになった警察学校を無事卒業して、4月からは近所の交番にまずは配属される。
そんなとき、ふと。母さんから言われた。
「デュース。……この近所に、大きな神社があるでしょう。お仕事に行く前に、きちんと挨拶には行っておくんだよ」
「今どき神社に挨拶って、母さん……」
そう言って苦笑いする僕に、母さんは首を振って言った。
「アンタは覚えてないかもしれないけどね。アンタが本当に小さい頃、8歳くらいの頃かな。……すごく高い熱を出してね、命も危ういってことがあったのよ。三日三晩うなされて、いよいよもう駄目かもしれないって夜にね。その人は現れて、こう言ったの」
――『子ども七つまでは神の内、というが。俺の手元を離れた途端に、これか。仕方ない、今回ばかりは助けてやろう。だが、その代わり。この子が二十歳(はたち)になったとき、俺はこの子を花嫁として貰い受けるぞ』
と。突然、病床に伏した僕の隣に正座していた、紙のお面をつけた明らかに人ならざる様子の銀髪の男がそう言ったのだと言う。
そうして熱が下がった僕の傍には、その近所の神社の、『健康祈願』のお守りが落ちていたのだとか。
「な、何だよ? 急にそんな、怖い話? みたいなのして……」
「お祝いのときに、ごめんね、デュース……。でも、本当のことなんだよ。あれからアンタの熱は下がったし、助けてもらったのが本当だとしたら、無碍にもできない。祟りがあったりしたら怖いから、ちゃんとご挨拶にくらいは行っておいで」
これそのときのお守り、と母さんは僕にお守りを渡す。なんかいわく付きとはいえ、母さんから渡されたお守りだと思えば無碍にすることもできず。まあ、普通のお守りだと思ってカバンにでもつけときゃいいか、と。僕はそう思っていた。
そうして、結局。僕は業務開始までの空き時間もあったし、神社へとお参りに行くことになった。
「鶴来神社(つるぎじんじゃ)……へえ。よく鶴が池に遊びに来るからこの名前、って書いてあるな」
神社の境内にある看板を見て、僕は感心する。見たところ、普通の神社だ。
鳥居をくぐり、中に入る。手水場で手を洗って、拝殿の方へ向かった。
……作法ちゃんと覚えてないけど、まあ、祈る気持ちがあればなんとかなるだろ。
「えーっと。僕としてはよく覚えてないんですけど、なんか、昔、僕のこと助けてくれたみたいで、ありがとうございました……」
この度二十歳(はたち)になったので、お礼のお参りに参りました、と。とりあえず手を叩いて祈ると。
『顔を上げろ』
「……え?」
顔に紙のお面をつけた、和装の銀髪の男が、そこに立っていた。
『ようやくこの日が来たか。待ち遠しかったぞ。さ、さ、こちらへ』
「え、あの、ちょっと!」
僕の腕を引き、本殿へ連れて行こうとするその男に、僕は戸惑う。
「あ、アンタ誰だ!? それに、僕はここにはお礼のお参りに来ただけで、嫁入りとかしにきたわけじゃ……!!」
するとその目の前の男は、明らかにまわりの空気を変えた。
『それは約束が違うんじゃないか? なあ、デュース』
「うぇ……っ?」
神社の境内が、やけに静かになる。風もないのに木の葉と木々がざわめく音が、やけに大きく聞こえる。
……ヤバイ、と思った。
『今日この日まで、幾度も命を落としかけたお前のことを、守り続けてやったのは誰だと思っている?』
「守る、って……まさか」
僕はその言葉に、思い出す。そういえば中学のとき、不良になって荒れていた頃。おかしなことが、何度もあった。
僕に喧嘩を売ってきた不良グループの上から、鉄骨とか鉄パイプが落ちてきそうになって、さすがに危ないって庇ってやったことが、何度も。いくら喧嘩してても、さすがに命まで取ることはねえだろって思ってたから。
そんなんだったから何故か舎弟がやたらと増えたりはしたけど、まさか。あれも、コイツが……?
『デュース。俺の愛しい花嫁。お前を人間界の悪しきことから守り、愛し、慈しんでやる』
お前は俺のものだ、と告げるソイツに、僕は、とにかく、流されちゃダメだ、と思って。
言いたいことを言いまくった。
「か、勝手に話を進めるな! えっと、僕はアンタにいろいろ言いたいことがある! まず、小さい頃僕のことを助けてくれたのは、ありがとう。でも、花嫁にするってのは勝手にアンタが言い出した一方的な約束だろ! それに、僕の喧嘩相手の命を狙うのはやりすぎだ! あと、僕はアンタのことを何も知らない! 今呼ぶべき名前すら、だ! 人間の世界では、何も知らない人とは結婚できないんだ! 素顔を知らない人ともな!」
そうまくしたてると、目の前のソイツは、言った。
『そうか。俺の名前も知らない、と。……ふっ、そうか。忘れてしまったのだな。お前が幼い頃は、よく呼んでくれていたのに』
「え……?」
『人の記憶とは、儚いものだ。……ならば改めて挨拶するとしよう。俺の名はシルバー。お前のことを娶る、神の一柱だ。よろしく頼む』
そうして、ソイツは紙のお面を取った。お面の下に隠れていた素顔は、この世のものとは思えないくらい、めちゃくちゃにイケメンだった。でもそんなことより、僕は、『シルバー』というその名前に、頭がずきりと痛んだ。
「……しる、ばー? まさか、シルバー、兄ちゃん……?」
『思い出してくれたか、デュース』
ズキン、ズキンという頭の痛みと共に。小さい頃の記憶が、浮かぶ。
近所に住んでいたのか分からない、『シルバー兄ちゃん』という子どもと、かくれんぼや鬼ごっこをして一緒に遊んでいた記憶だ。
母さんにそのことを話したとき、『アンタ、一体誰と遊んでいたの? ひとりで楽しそうだったけど……』と言われたのも、思い出した。
そうして、もっと大変なことを思い出した。小さい頃、僕は約束をしたのだ。
『ぼく、しるばー兄ちゃんとずっといっしょにあそびたい!』
『そうか。なら、デュース。俺のお嫁さんになるか? そうしたらずっと一緒にいられる』
『うん! なる! ぼく、しるばー兄ちゃんとずっと一緒にいる!』
『……その言葉、違えるなよ』
僕は、もうかつて、OKしてしまっている。この神様っぽい男との、約束を。
『デュース、大丈夫か?』
いつの間にか僕の傍に来ていた今のシルバーが、僕の肩をさする。すると、頭痛が嘘のように引いた。
『お前はよく怪我をするから、鍛錬をして、癒しの術は得意になっておいたんだ。どうだ? もう、痛まないか?』
「あ、ありがとう……」
頭痛とか発熱を治してくれたのは、やっぱり治してくれたみたいだな。ってことは、コイツは僕の恩人でもある、ってことだ。
そう考えると、約束してしまっていたのもあって、無碍にしようとはできなかったし、下手に断って祟りや呪いなんかに発展して、母さんを巻き込みたくもなかった。だから、条件付きでOKすることにした。
「なあ。花嫁になるって言っても、僕はまだ人間界で暮らしていたいんだ。母さんに、ちゃんと立派に更生した姿を見せるって夢も残ってるし」
すると案外、あっさりとシルバーは頷いてくれた。
『ああ、分かっている。ずっと見てきたからな、お前のことは。お前は、母親想いの良い子に育った。だから、人間界で警察として暮らす分には、かまわない』
だが、とシルバーは続ける。
『せっかく輿入れしてくれたお前に会えないのは、淋しい。だから、できるだけ毎日、この神社に寄ってくれ。そうして、この俺にその顔(かんばせ)を見せておくれ』
「……そんなんでいいのか?」
僕はちょっと、拍子抜けした。普通、神様って言ったら、もっと、なんていうか……。
いろんな、人間の倫理を越えた怖いことを要求してくるんじゃないか、って思ってたから。
『もちろん、お前の魂がなんらかのきっかけでこちらの世界に来たときには、すぐに迎え入れる準備がある。だが、俺たち神々からすれば、お前が仮に年を取り、寿命を果たすまで待ったとしても、そう長い時間とは思わない』
それに、急いでこちらの世界に来させるも勿体ない、とシルバーは言った。
『人間は生きている間しか持たない生命の煌めきのようなものを持つことがある。お前は、その輝きが特に大きい』
だから、今は奪わない。とシルバーは言った。だが、それは僕に限った話だ、とも。
『もしお前が、俺の花嫁であることを忘れ、他の人間に懸想し、あまつさえ家庭やら所帯を持とうとすることがあるのなら……そのときは、分かっているな?』
その人間たちの末路を考えたくなければ、ゆめゆめ俺との約束を忘れないことだ、とシルバーは僕を脅かす。
僕は、ちょっと理不尽に感じたけれど。伝え聞く怪談の神様系に愛された話の中ではこれでもかなり優しい方か、と。
仕方なくその条件を吞み込んだ。
「分かった、とにかく浮気しなけりゃいいんだな。で、この神社にお参りとして通えばいい、って」
『そうだ。それに、この神社に所縁(ゆかり)のあるお守りも、できるだけ身に着けていろ。そうしたら、俺がお前を苦難危機から守ってやれる』
神主たちには夢枕に立ち、お前のことを伝えておく、とシルバーは言う。
こうして平凡な一学生のひとりだった僕は、何故か急に、神様の花嫁なんていうわけのわからない立場に置かれることになってしまったのだった。
それから、さっそく僕は翌日、神社で待つシルバーへと会いに行った。境内を掃除する神主さんたちにこんにちはと挨拶をすると、すごく丁重に歓迎されて、ささこちらへ、と本殿へ案内された。……どんな説明したんだ、シルバーの奴。
本殿へ呼ばれるも、どうしたらいいか分からなくて、とりあえずシルバー、いるかと適当に声をかけると、ソイツは現れた。
『デュース。さっそく来てくれたな、律儀な子だ。会いたかったぞ』
「約束破って祟られたりして、母さんたちを巻き込んだりはしたくないからな」
そう話し始めた僕を、神主さんや巫女さん方は頭を下げながら遠巻きに見守る。……コイツが見えてるのか見えてないのか分からないけど、仕えてる神様が夢枕に立ったり、実際に顕現するのって、彼らにとってはすごく凄いことなんじゃないかなって僕はちょっと思った。
『祟りか。俺はあまりしない方だが、確かに。お前の行動次第では、分からないな』
神という存在は気まぐれなもので。そのときの気分次第で、人々にとって良い神にも荒ぶる神にもなる。
俺は人の善い隣人であろうと努めているが、お前の態度次第では分からない、とシルバーは言った。
「毎回ちょいちょい脅かすなよ! 僕だって忙しいんだから、会いに来れない日もたぶん出てくるし。1日や2日会えなくて、それくらいのことで、呪ったり祟ったりし始めるなよ!?」
『俺は神の中では気が長い方だと言われている。それくらいなら、平気だ。だが、お前が完全に俺のことを忘れてしまえば、忘れた頃にそれが来るだろう』
やっぱりちょっと怖いんだが、と思いつつ。でも、まあ、僕がコイツのことを忘れなきゃ済む話だ、そもそもこんなインパクトがある話忘れらんねえし、と咳ばらいをする。
「それで、僕。ここに来たとき、何をすればいいんだ? 嫁に来いって言って、毎日来させるからには、何か目的があるんだろ?」
『目的? 花嫁と過ごすことが、どうして何らかの目的がなければならない。むしろ、逆だ。本来はこの本殿で共に住み、暮らすことが自然で、人間界での目的を達成するため、仕方なく別に居を構えているのだろう』
だから、夫婦の時間を取りに来てほしいと願っているのはおかしなことだろうか、とシルバーは言う。
……ええと、つまり、それって。
「一緒にお喋りしたり、まったり過ごしたりしてほしい、ってことなのか?」
『そうだ。夫婦(めおと)だからな』
「うーん……分かった。まあ、毎日の良い息抜きになりそうだし。仕事が終わった頃、会いに来ることにするよ。帰り道だしな」
『ここから通ってもかまわないのだぞ』
「や、神社に住むのはたぶん手続きとかなんかいろいろ大変そうだし、まだ引っ越したばかりだから、やめとく……」
『そうか、残念だ。ならば、近いうちにいずれ越してきてくれ』
そうして穏やかに話すシルバーに。コイツ土地神的なものじゃないのかな、僕転勤とかあったらどうしよう、と思うのであった。
とりあえず母さんに無事を報告するか、と。電話では話しておいたけど、その後、改めて顔見せに行くと。
「大丈夫だったんだね、デュース? ああ、良かった……」
ぺたぺたと顔を触って、心配された。なので、ちゃんと言っておいた。
「そのカミサマっぽいのとは、会っていろいろ話したけど、カミサマの中でもかなり優しい方っぽかった! なんか、毎日お参りに行って、他に恋人作らないなら怒らないって言ってたし……たぶん大丈夫、だと思う!」
「そう、アンタは本当に、それでいいのね? ……なら、良かった」
また働き始めてもたまには顔見せてちょうだいね、と言われ。そして、僕は母さんと別れた。
それにしても、花嫁、花嫁、かあ。神様の花嫁、とかそれ以前に。
……僕、誰かを好きになったり、キスとかそういうこともしたことないんだけど。
神様相手に上手くやれるかなあ、なんて。今は呑気に、そんなことを考えているのだった。
*つづく……(?)
*案の定、続き何も考えてません。何か結末とか設定とかいいのが思いついたら続けるので、よろしくお願いします。
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