余韻

*10年後入れ替わりネタ「好きになっていただけますか?」の続きっていうか、シルバー視点のちょっとしたおまけ「残り香」の、デュースサイドのお話です。なのでこっちもちょっとしたおまけ。
*大人シルバー(27歳)×学生デュース(16歳)です。モラル・倫理観が気になる方はブラウザバック推奨。

以上大丈夫な方はスクロール↓

 

 シルバー先輩が、無事、10年後の人から元に戻ってくれて、ホッとした夜のこと。
 ハーツラビュル寮のベッドの中。眠りに落ちた僕は、その日、ヘンな夢を見た。
『デュース』
『ほぁ?』
 気がつくと、僕はどこかよくわかんない、なんだかやたらとパステルピンクな部屋にいて。
 大人のシルバー先輩が、大きなベッドに座ったまま僕を胸の中に抱き寄せていた。
『こっ、ここどこですかっ!?』
『内緒だ。それに、そんなことどうだっていいだろ? 俺とお前がいれば、な?』
 そうしてウィンクする大人のシルバー先輩に、僕は、ドキッとする。
『ほ、本物の……今のシルバー先輩は?』
『俺も「本物のシルバー先輩」だぞ? 向こうの俺は……今頃、未来のお前とよろしくやってるんじゃないか?』
『……』
 僕がぷう、と頬を膨らませると、おやおや、とシルバー先輩は苦笑いした。
『困ったな、ご機嫌ななめか、子うさぎさん?』
『僕うさぎじゃないですっ』
『そうか、そうか。まあ、でも。向こうが浮気してるなら、仕方ない、よな?』
 恋人に放っておかれて淋しいなら、お前の方は俺が相手してやる、とシルバー先輩は言う。
『大丈夫。俺もお前の「シルバー」が形を変えただけの姿なんだから。悪いことなんて、何もないさ』
 そう言って、シルバー先輩は僕の背中をそっと抱き寄せた。
『……何、するんですか?』
 僕がそう尋ねると、そうだな、と大人のシルバー先輩は言う。
『じゃあ、これでもしてみようか? デュース、こっちに来て、大人しくしててごらん』
 僕が言われた通りにすると、大人のシルバー先輩は僕の首に何かを取り付けた。
『これなんですか?』
 手で首元を触ると、ちりちり鳴る。どうやら、首輪と鈴をつけられたようだった。
『ふっ。なかなか似合っているな』
『僕ペットじゃないですっ』
 そう言って首輪を外そうとすると、くい、と指先で顎を引っ張られた。
 そして、そのまま喉を撫でられる。まるで、猫にするかのように。
『ん、んぅ……?』
『ふっ。くすぐったくて気持ちいいだろ?』
 大人のシルバー先輩はそのまま、僕を転がして、首元以外も、お腹や背中もするすると撫でていく。
『やぁっ、くすぐったいです……っ!』
『可愛い、デュース。俺の子猫ちゃん』
 ほら、子猫ちゃんはなんて鳴くんだ? とほほ笑まれ。僕は、恥ずかしくて。恥ずかしくて、仕方ないけど。
『……ん? ほら、可愛く鳴いてごらん?』
『にゃ、にゃあ……っ!』
 その言葉を、口にした。
 すると、大人のシルバー先輩は、よくできました、と僕の頭を撫で、頬と口にキスをする。
 ……長く口をくっつけるキスも、またされた。
 そうしてまたなんか、いろいろシルバー先輩は僕を抱きしめて、身体を撫でたりくすぐったり、いろいろなことをしていたけど、僕にはまだそれがなんなのか、どういうものなのか、よく分からなかった。
 ただ分かるのは、きっとこれは僕にとってとても恥ずかしいことをされているんだなってこと、だけだった。
『だ、だめ、です、しるばーせんぱいっ、も、ぼく、恥ずかしくて、だめぇ……っ』
 僕が身体中から力を抜き、崩れ落ちると、大人のシルバー先輩は僕のことをがっしりとした腕で支えた。
『ふっ、いじめすぎてしまったみたいだな? ……デュース、この夢の中では、いつでも俺を呼んでくれていい。お前が俺を呼んだなら、いつも秘密の夜を、与えてやるから』
『ふ、ぁあ……?』
 そうして耳元や口にまたキスをされ、僕は溶けそうになる。
『んん……』
 与えられ続ける甘く優しい大人の刺激に、もどかしく身をもじらせたとき、ピピピピピ、と音がして。
 ……目が覚めた。
「……」
 むくりと起き上がり、僕は、今見たばかりの夢の内容に頭を抱える。
(ど、どういう夢見てんだ、僕は……っ!! 大人になったシルバー先輩から猫にされていじめられたいとか、そんな願望が実はあったのか、僕……っ!?)
 そうして。起き抜けから急いでシャワールームに行って、頭から冷たいシャワーを浴びて、頭ごと顔も何もかも洗う。
 それでも落ち着かなくて、僕は朝から2周ほど薔薇の迷路を走り抜けた。

 ――そのあとで。エースや監督生、グリムといつも通りに登校していたら、ようやくちょっと落ち着いて。
 で、シルバー先輩に、朝から廊下でバッタリ会って。
「お、おは、おはようござい、ます……っ!!」
 昨日の夢の内容を、なんとなく思い出しながら、目を逸らしつつ、挨拶をする、と。
 シルバー先輩は何故か、僕と同じように、目を逸らしつつ、挨拶を返した。
「お……はよう、デュー、ス……」
「……な、なんか、あり、ました?」
 僕がそう尋ねると、シルバー先輩は言った。
「……何も、なかった!」
「そ、そう、ですか。そう、ですよね! 僕も、何もなかった、です!」
 それじゃあまた今度、と僕は言って。シルバー先輩も、ま、またな、と言って。
 なんだかギクシャクしながら、僕たちは別れた。
(……今、僕こんな風にしてるのに。シルバー先輩は、あんな風に育つのか……)
 そう思って振り向くと。シルバー先輩も、同じタイミングでこちらを振り向いていて。
 目と目がばちりと合って。僕たちは、また咄嗟にお互い、目を逸らし合うのだった。

*おしまい

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