蜜月

※ドルパロ(ギャラリーもしくは小説本棚に設定が置いてあるアイドルパロディの世界線のシルデュです。そちらを読まないと意味が分からないことがあるかもしれません)
※時系列:ドーム後、交際宣言後

以上大丈夫な方はスクロール↓

 

「先輩、明日、オフ……ですよね」
 仕事から帰宅し、夜食も風呂も終えてリビングで一息つこうとコーヒーを淹れてソファに座した頃。隣に座るデュースは妙にソワソワとした態度で俺にそんなことを尋ねてきた。それだけで、俺の頭にはデュースが求めたいことがピンと来ている。デュースが夜、照れくさそうに俺の予定を尋ねたり、少し離れた距離で寄ってきたりするときは、俺と夜の行為を求めたがっているときだ。
「ああ、そうだが」
 だが、あえてそれには気付いていないフリをしてみせる。デュースは恥ずかしがり屋だから、態度ですべてがバレていると知ったらもう自分から誘ってくれないこともあるかもしれないからだ。それは避けたい。恥ずかしがり屋のデュースが勇気を出して自分から誘ってくれるのは、俺のことが好きだ、欲しいと思ってくれているということで、それが伝わってくるのは、俺としても嬉しいことだからだ。
 予想通り、デュースはこてんと俺の肩に頭を乗せ、膝に置いていた俺の手に自分の手を重ねて言葉を口にする。
「僕も、オフだから……明日、したい、です」
「明日でいいのか?」
 俺は今からでもいいんだが、とデュースをからかえば、デュースは目を伏せながら泳がせた。
「い、今からでもいいんですけど……。でも、いっぱい時間とって、ゆっくりいちゃいちゃしたいから……」
 なるほど。今宵のデュースはどうやら、肉体的な欲というよりは精神的な充足を夜の行為に求めているらしい。ふむ、と俺は考えた。確か、肉体的な満足よりも、精神的な充足を主とした行為を、スローセックス……と言うんだったか? デュースのことをちゃんと好きになったと自覚しはじめたときから、書籍や資料などを集めて少しずつ性行為や夜の行為については勉強をしているが……。まだその技巧については実践していなかった気がする。
 俺の答えを待って真っ赤な顔で俯いているデュースの様子に、くすりと笑う。
「なら、デュース。今宵は俺と一緒に夜更かししよう」
「え? でも、先輩……」
 眠っちゃうんじゃ、と心配するデュースに、俺はそれがあったなと思い出す。
「なら、少しでも長く起きていられるように、今から少しだけ眠る。一時間後に叩き起こしてくれるか?」
 そう言い残してデュースの膝に頭を乗せれば、真っ赤なままのデュースがはいとうなずくのが見えた。その頭に手を伸ばし、撫でながら、俺は目を閉じ、意識を薄れさせた。

 *

 ――一時間後。
「先輩、シルバー先輩、起きてください」
「ん……」
 愛しい声の呼びかけに、目を覚ます。俺は確か……ああ、そうだ。デュースと長く夜の時間を取るために、仮眠を取っていたのだったな。俺は身体を起こしてソファから立ち上がり、デュースに手を差し伸べる。
「行くぞ、デュース。夜のデートと洒落こもう」
 デュースは逡巡しながらも、はい、と答え差し伸べた俺の手を取った。俺は、デュースを引き寄せて胸に抱きとめ、これからの予定を簡単にデュースへ告げる。
「これから必要なものを街へ買いに行く。そうしたら部屋に戻って、お楽しみの時間だな」
 耳元でささやくと、デュースは赤くなって、もう、と俺の胸を叩いた。

 コートを着て手を繋ぎ、イルミネーションの輝く夜の街へ繰り出す。閉まっている店も多いが、俺が求めているものはどうにか手に入るだろう。
「何を買うんですか?」
「そうだな。芳香剤と、あとは……避妊具だろうか」
「うぇ!?」
「必要だろう?」
 こら、逃げるなとしっかり手を繋ぎ、顔を手で覆って逸らすデュースを捕まえて引っ張る。
「どちらもこの後すぐ使うものだ。お前の意見も聞きたいから、一緒に買いに行くぞ」
「う、うう……はい……」
 そうしてまずは雑貨屋へと向かった。アロマキャンドルの棚を見れば、いろいろな匂いのテスターと陳列された商品が並んでいる。
「この棚、いい香りがしますね」
 キャンドルを選ぶことはそこまで恥ずかしくないのか、デュースはまだリラックスした様子だ。
「どれが好きだ?」
「うーん、そうだな……。この、石鹸っぽい香りのやつか、バニラアイスっぽい香りのやつですかね」
「なら、そのバニラの方を買っていくとしよう。お前は甘い味がするからな」
「何言ってるんですか、もう!」
 バニラの香りを扱った白いアロマキャンドルをいくつか購入する。一個じゃないんですか、とデュースに尋ねられ、一回きりでいいのかと返すと、またデュースは真っ赤になって黙ってしまった。
「次は避妊具だな」
「ほ、ほんとに二人で選ぶんですか……」
 デュースはまだ恥ずかしがっている様子だが、俺は、これは本当に、気分を盛り上げるため以外の目的でもデュースの話を聞いておきたかった。
「お前の身体にも関わるものだから、どんなものがいいか、お前の話もちゃんと聞いておきたい。こんなことでもなければ、聞けないことでもある」
「……は、はい。そういうことなら……分かりました」
 まだデュースは恥ずかしそうだが、ちゃんとついてきてくれる。俺の誠意が伝わったようで、嬉しい。
 避妊具が売ってある棚につき、デュースにどんなものが好みだと尋ねてみると、普段どれ使ってるんですかと返された。……そういえば、改めて教えたことはなかったかもしれない。普段使っているのはこれだと黒地に金の文字が印字された商品の箱をひとつ取って渡せば、これが……となんだか興味深そうに箱の説明を読んでいた。デュースもなんだかんだ言いつつそういったことに興味はあるようで、俺が渡したもの以外にもいろいろと物珍しそうにパッケージを物色している。割と真剣に悩んでいたようだったが、そのうち最初に俺が選んでいたものを改めて持って来た。
「シルバー先輩は、いつもどうしてこれを選んでるんですか?」
「医療用にも使われている素材だということで、安全性が高いと判断した。それから、身体のぬくもりが伝わりやすいというところが気に入っている。……お前の身体に負担をかけたくはないし、するなら気持ち良くなってもらいたいからな」
「そう、なんですか……」
 デュースは少しだけ頬を赤く染めて、なら僕これがいいですと最初のものを選んだ。いつもと同じでいいのかと尋ねると、先輩が僕のこと考えて選んでくれたものだって分かったので、これがいいんですと笑っていた。

 会計を済ませ、街へ出る。繋いでいた手はいつの間にか指を絡め合って歩く。人もまばらになってきた夜景の雰囲気に当てられたのか、デュースは帰って使うの楽しみですね、と少しだけ大胆な感想を言ってみせた。……きっと、キャンドルのことではないのだろうな。胸の高揚感が高まっていくのを感じながら、二人でマンションの部屋へと帰る。
 帰宅時の手洗い、うがいを済ませ、寝室の暖房や加湿器を一通り入れて心地良い空間を作ってしまえば、準備は完了と言えた。
「先輩、早くキャンドルもつけましょう!」
「ふっ、すっかりはしゃいでいるな?」
「ちょ、ちょっとこういう、大人でロマンチックな夜に憧れてたんで……」
 分かった分かったと言いながら、二人でベッド端に座り、キャンドルに火をつける。なんだか高級ホテルにいるみたいだとデュースがはしゃぐので、その幼い感想が可愛くて笑ってしまう。
「もう始めるんですか?」
「始める前に、そうだな。手順を一緒に確認しよう」
 俺は本棚から一冊の本を抜き取り、再びデュースの待つベッドサイドへと腰かける。デュースはなんですかその本、と興味津々に寄ってくる。これからお前とすることを、一緒に軽くさらっておこうと思ってな、と告げてページをめくると、デュースは姿勢を正した。デュースは照れ屋だが、ちゃんと真面目な説明だと分かれば真剣に聞いてくれるので、そんなところも好ましく思っている。
「これから、少し特殊な性行為をする。と言っても、危ないことや妙なプレイではない」
「そうなんですか?」
「ああ。このページに書いてある、『スローセックス』というものを試してみようと思っている」
「すろー……せっくす?」
「そうだ。肉体的な欲の満足よりも、精神的な充足に特化した性行為らしい。時間や場所、二人ともの意識が大事だとここに書かれているので、お前にも共有させてもらった」
「ゆっくりするんですか?」
「俺もまだよく分かっていないのだが……。ただ時間をかければ良い、というものではないらしい。ともかく、参考にしながらやってみよう」
 わかりました、とデュースは言う。ひとまず照明を絞って間接照明のみにし、薄暗闇とキャンドルの灯かりの中ベッドで向かい合うと、なんとなく気恥ずかしくてそわそわとする心地がした。
「えへへ……。こんなにいっぱい、これからするぞみたいな準備したことなかったので、なんか、ちょっと恥ずかしいですね」
「確かに、そうだな。だが、心地悪いものではない。お前も、そうだろう?」
「はい」
 最初は何したらいいんですか、とデュースは問う。俺は一通り頭に入れた手順を頭の中で参照した。
「はじめは、全身を軽く撫で合うそうだ。それも、ただ撫でるのではなく、言葉を口にしながら」
「言葉?」
「例えば……」
 好きだ、デュースと耳元でささやき、デュースの頭や首筋を撫でる。こんな風にするんだと言えば、デュースは、わ、分かりましたと言って俺の頭に手を伸ばし、撫でてきた。
「……好き、先輩」
「ああ、俺も。好きだ、デュース」
 やりはじめには照れが見えていたデュースも、だんだんとリラックスしてきたのか、笑いながら俺に愛の言葉を告げる。
「好き、大好きです、シルバー先輩」
「愛してる、デュース」
 お互いの肩やら、足やら、太ももやら、腰やら、俺たちはくすぐるように撫で合っていく。なるほど、この手順は確かに心地良いな。これだけでも十分に精神としては充足してしまいそうだ。
「これ、どのくらい続けるんですか?」
 デュースが問う。
「ふっ、焦れてしまったのか? 手順としては、お互いが満足するまで続けていいそうだが」
「……キスしたい、です」
 デュースの可愛いねだりに、唇へとキスを落とす。
「なら、次の手順へ入ってしまおう。次は、上半身を愛撫するらしい」
「上半身、だけですか?」
「ああ。……身体を少しずつ焦らしていくことで、気分を高め、精神の満足を盛り上げるのだそうだ」
 そう言って俺はデュースの髪の毛を梳くように指先で撫で、キスを落とす。確か、上から下へと愛撫すれば良いのだったか? そのまま頬も指先で撫で、キスを落とす。唇も同じように指で撫で、キスしてやった。そうすると、デュースは自分から手を握ってきた。
「暖かいな」
「せんぱ……、んっ」
 デュースの耳を指先でくすぐるように撫でる。少し長めにくすぐっていると、デュースは、んん、と焦れ始めたような声をあげた。
「デュース」
「ん……っ」
 デュースの耳にキスを落とす。俺はどうやら、このくすぐった後にキスを落とすことの繰り返しを気に入ってしまったらしい。なんせ、デュースの反応が目に見えて良いからな。まだ始めたばかりだというのに……。
 デュースと見つめ合って、両手の指先で首筋を撫でる。ゆっくりと手を手前に動かすと、デュースは何かぞわぞわとしたものに耐えるように目を閉じた。
「これ、愛撫って言うより、くすぐられてるみたいな感じしますね……」
「俺もそう思う。だが、気持ち良さそうにも見えるぞ」
 デュースを抱き寄せて、今度は背中をなぞる。円を描くように背筋を撫でると、あ、うとデュースはくすぐったそうな声を漏らした。
「可愛い、デュース」
「……先輩は、恰好いいです」
 我慢できなくなったのか、それともなぞられたらキスだと覚えたのか、今度はデュースから俺にくちづけてくる。思わず深く舌でも入れて応えてやりたくなるが、ちゃんと我慢するようにと書籍に記述があったのを思い出してぐっと耐え、唇を舐めるだけに留める。……なるほど、こうした工程でさえ、デュースだけでなく俺も焦らされるのか。
 デュースの服の上から軽く腹をなぞり、やはりくすぐったそうに身をよじったところで直接肌をなぞっていく。とは言っても、触れるか触れないかくらいで撫でまわせという指示があったので、その通りにしているのだが。
「う、うう……」
 デュースは何か耐えているような声をあげ、俺の手を掴む。
「も、しっかり触ってほしいです、シルバー先輩……」
「……まだダメだ。あとでちゃんと触るから、もう少し我慢してくれ」
 唇にキスをして宥める。まったく、焦れるのが早いな。デュースはもう俺に触ってほしくなったようで、ゾクゾクとしたものが上っているのだろう身体をただ捩り続けている。まあ、俺も気持ちが高まってきた以上、デュースのことばかり言えないのだが。
「まだ、撫でなければいけない場所が残っている」
 そう言って着ていたTシャツを脱がせ、デュースの脇を撫でると、デュースはまたくすぐったそうな声をあげた。
「やあ、もう……」
「とても気持ちよさそうだぞ?」
「う、それは、そうなんですけど……」
 俺はデュースの腕へキスを落とす。そのまま指先を撫でながら絡め合い、手の甲にキスをすれば、デュースはすっかりうっとりとした目でこちらを見つめてきた。キャンドルの光がデュースの瞳に反射して、とても幻想的だ。俺が尽くすことで、デュースが歓びを感じてくれている。その事実に背筋にゾクリとしたものが上がってくる感じがして……なんだか、俺の方がハマってしまいそうだなとわずかな危惧を覚えた。
「……暑くなってきたな」
 俺も上着を脱ぎ捨て、次の工程へと進む。次は、下半身への愛撫だ。下半身は上半身とは逆で、下から上へと愛撫していくといいらしい。恐らくだが、理屈としては性器へと快感を集めるように愛撫していけばいいのだろう。
 目の前に座るデュースに、足を出せ、と告げる。おずおずとこちらへ足を伸ばしたデュースの靴下を取っ払ってしまい、その足を持ち上げて、指の付け根を割るように指先で撫で、そのままついと足の甲をなぞりつつ、くるぶしのあたりを舐めた。
「し、シルバー先輩……っ」
「……恥ずかしいか?」
「恥ずかしいのもそうですけどっ、そんなとこ舐めちゃ……っ」
「安心しろ。とても綺麗だ」
 デュースをベッドに倒し腰を浮かさせ、ズボンを引き抜いて脱がせてしまい、ふくらはぎを撫でまわす。それから、膝にもキスを落とした。実はけっこうデュースの足を見ているのが好きなのだが、わざわざ行為の際にふくらはぎや膝など細かい部分まで愛撫することは少ないから新鮮だな、と思う。
「先輩……」
「ふっ。お前には、今、俺がどう見えている?」
「……すごく、僕のこと、好きって思ってくれてるのかな、って、思います……」
 正解だ、と唇にキスをする。そのまま、膝から太ももへ快感を上らせるように下から上へと撫でてやれば、あ、ああ、とデュースは声をあげた。上がる声はもう、くすぐったい気持ちから、快感へと変わり始めているようだ。
 太ももは性器に近い内側をじっくり愛撫してかまわないと書かれていたのを思い出し、その通りにする。太ももの内側を舐めていると、デュースのものが徐々に下着の中から布を押し上げているのが目に見えて分かった。……なるほど、これは少し愉しいかもしれないな。わずかな愉悦を感じていると、デュースが、先輩は気持ちいいですか、と尋ねてきた。
「ああ、とても。……早く触れたいと、じれったい気持ちが、ずっと背筋をなぞっているようだ」
 そう答えると、デュースはこんな風にですか、と手を伸ばして俺の背筋をなぞってきた。
「ん……っ」
 まったく、イタズラっ子だなと頬にキスをすれば、デュースはえへへと満足そうに笑った。しかし、その間もデュースの足はすり合うように動き始めている。そろそろ触れてもいいかとデュースのものへと手を伸ばした。
「あ……」
 デュースのものの全体を、下着の上からやわやわと撫でる。この辺りから、書籍の記述としては本来は女性に対してすることのようだが、男同士でもさほど手順としては変わらないだろう。その証拠に、デュースはとても気持ち良さそうだ。
 男同士でする場合は、この辺りで後ろもほぐしてやった方がいいのだろうな。俺は下着を脱がせ、デュースの受け入れ口をやわやわとマッサージするように指先で伸ばしていく。少し濡らしてやった方がいいだろうと、温感の機能を持ったローションをつけ始めた。
「あ、あ、せんぱい……」
 ゆっくりと手順を進めているのに、それでもデュースの息ははあ、と少しずつ熱く、荒くなっていく。俺はゆっくりと人差し指を入れ、デュースの感部を探った。
「ほら、デュース。どこが気持ちいいんだ? 今宵は正直に教えてくれ」
「う……、も、ちょっと、あとちょっとだけ、奥……」
「ここか?」
 デュースの言う通りの場所へ、ゆっくり、じっくりと指を挿れる。
「も、ちょっと、右……」
「……こっちか?」
「ん、逆……あ! そ、そこ……っ」
「ふっ、ここか。覚えたぞ」
 デュースが嬉しそうに身体を震わせるのを見て、俺はゆっくり、じっくりとその箇所を撫でまわす。本当はもっと触れてやりたいが、我慢だ。……デュースもすっかり焦れているが、俺も耐えて、気持ちを昂らせなくてはならない。それがデュースの何よりの快感に繋がるとあったからだ。
 くるくるとゆっくり指先でなぞるように回し撫でていると、やがてデュースがびくりと身体を大きく震わせた。俺はそこで、指を止める。
「や、止めないで……っ」
「……気持ちいいか、デュース?」
「ん、んん……っ」
 焦れているデュースを見て、早く攻めてやりたくなる。……とはいえ、次の手順は挿入とあったが、まだ十分にほぐせていない状態で俺のものを挿入するのは良くないだろう。できるだけデュースを焦らしながら、ほぐしていかなければならない。
「後ろがほぐれたら、中に挿れてやる。……まだ我慢だ。もう少しだけ頑張ってくれ、デュース」
「う~……っ」
 ローションを足し、時折デュースの感部を撫でては、デュースの身体が大きく反応する度に止めることを繰り返しながら、デュースの受け入れ口を少しずつ伸ばしていくことを繰り返す。中に挿れる指が増える度、デュースの反応はだんだんと大きくなっていった。……正直、そんな姿を見ていると、早く挿れたい。ひとつになりたい。だが、デュースの身体に負担があっては良くない。俺は必死に残っている理性をかき集めて、こんなにも俺たちのことを焦らすのかと書籍の著者を少し恨めしく思いながら、デュースをほぐしきった。
「は……、デュース、そろそろ挿れるぞ」
「も、早くぅ……」
 明らかに邪な期待で興奮しているデュースに、俺もついつられて意識が高まってしまう。なんせ俺のものは、乱れていくデュースを見てとっくの昔にものすごい元気だ。そういえば、と思い俺は買ってきた避妊具を取り出す。
「あ、さっきの……」
「ああ。お前が選んだ避妊具だ」
「……先輩が、選んでくれたやつ、でもありますよ」
「ああ、そうだな」
 デュースの唇にキスをして、自分のものに避妊具を装着する。すぐにつけやすく、それでいて外れにくいところも、俺がこのブランドを気に入っている理由のひとつだ。まあ何よりの理由は、互いのぬくもりが直接伝わるような、その自然な感触が気に入っているからなのだが。
「挿れるぞ」
「は、はい……んっ」
 デュースの中に、ゆっくりと自分のものを挿入していく。早く動かしてしまいたいが、これさえもゆっくりと進めろと書籍にはあった。本当に著者を恨みたくなるが、身を捩ってんんともどかしそうな声をあげ、気を許して大胆になっていくデュースを見ていると、同時に良いものを見せてくれてありがとうという感謝の心地もあった。複雑な男の心境だ。
「んん~……っ、も、はや、くぅ……っ」
「ふっ、お前はずっと焦れっぱなしだな……っ」
 口では余裕ぶっているが、俺も正直辛い。ゆっくりと押し進め続けて、ようやくすべて挿入し終わったとき、思わずはあと息を吐いた。
「全部、入ったぞ」
「ぜんぶ……」
「ああ」
 デュースの身体をぎゅっと抱きしめてやる。書籍にもこの手順は書いてはあったが、この手順については書かれていなくとも自然とそうしたのではないかと俺には思えた。
「も、動くんですか……?」
「いや……、ここから、しばらく動きを止めなくてはならないそうだ」
「うう……、まだ……」
 デュースは本当に焦れているようだ。俺も同じ気持ちだが、それでも、デュースに何よりも気持ち良くなってもらいたいという一心だけで耐えている。
「キスや愛撫はしていいそうだ。……それで、もう、ついに我慢ができなくなったら、心のままに……、ということらしい」
「がまん、いっぱい……」
「そうだな。たくさん我慢して……俺も、もう限界に近い」
 お前が好きだから、と耳元でささやきこめかみにキスをすると、デュースはそれだけで、あ、と声をあげながらびくびくと身体を震わせた。
「せんぱい、ぼくも、すき……。ぼく、も、ずっとむりで……、せんぱいも、はやく、我慢できなくなって……」
 デュースはそう言いながら、俺の腰をくすぐるように撫でてくる。それだけで俺のものは余計に大きくなるような気がした。
「お前というやつは……!」
「ふ、ふふ……っ、あ、せんぱい……つ」
 止めていた腰が、少しずつ動き始めてしまう。俺の動きに呼応するように、デュースの腰も動いていく。俺たちは直感した。このまま、お互いを煽っていけば……もう、我慢はいらない。焦らして、溜めて、溜めに溜めた欲を、解き放って良いんだ。
「……デュース」
「せんぱい……っ」
 俺は堪らなくなり、デュースの背筋や脇をくすぐる。デュースの全身を撫でまわしていて、特に感度が良かった二か所だ。今日はじっくりと見せられたから、よく覚えている。
「ん、ん、んん……っ」
 デュースも負けじと俺の耳の裏を指先でくすぐったり、太ももを足の指先でくすぐったりと俺を煽ってくる。
「く……っ」
 そうしているうちに、俺たちの身体は、自然と激しく動き始めていた。魂から互いを求め合うように。
「あ、あ、あ……っ、あ、ああっ、シルバー先輩……っ、これ、これすごい、気持ちい……っ」
「デュース、好きだ、デュース……っ」
 もういい加減奪わせてくれと、唇を奪い、舌を入れて吐息を奪い合う。何もかも触れ合う熱い温度が、擦れ合う肌が、ぶつかり合う会陰が、とにかく気持ちいい。もはや本能のままにデュースを求めていると、そのうちにデュースは激しく声をあげ、俺を締め付けた。
「あ、ん、んん、あっ、先輩、ぼく、僕もう……っ!!」
「……デュース……!」
 もう、待つのは嫌だ。何もかも取っ払って、お前を求めたい。お前が欲しい。すべて俺のものだ。そんなことしか考えられなくなって、奥を突いた感覚がした瞬間、デュースはひときわ甲高い声を上げた。
「あ、あああああ……っ!!」
「ふ、くっ……!!」
 デュースは俺を強く締め付けながら、背中に爪痕を残しながら、膝をがくがくと震わせる。その強い締め付けにつられ、俺も達してしまった。それも、一瞬チカチカと、気が遠くなるような快感を感じながら。
 どうにかデュースの上に倒れる前に意識を戻し、手をベッドに突っ張ると、ぜえ、はあ、と二人で荒い息を吐き合うことになった。
「……デュース、このまま……」
「……はい」
 繋がったものを抜かないまま、余韻を楽しむ。デュースを抱きしめると、腕を背中に回された。そのまま、俺はデュースと何度も口づけ合いながら、今日の感想を求める。
「どう、だった?」
「ん……なんか、すごい……満たされた、って感じがします……。我慢するの、大変だったけど……」
「……ああ。俺もだ。本当に、中盤は耐えているのが辛くて……提唱者を恨んだ」
「ふふっ、なんですか、それ」
 デュースの髪やこめかみにキスを落とす。デュースは大人しく、それを受け入れてくれる。
「気持ち良かったか?」
「ん、すごく……。こんな気持ち良くなっていいのかな、って心配になっちゃうくらい、気持ち良かったです」
 今も、とデュースは続ける。
「すごい、先輩が欲しい、って気持ちでいっぱいになって……。今は、ぜんぶ先輩のにしてもらった、って思って、こうやって、入ったまま、ぎゅってしてもらえるのが、嬉しくて……」
「……ふっ。お前が満足してくれたのなら、やってみた甲斐があったな」
「先輩は、気持ち良かったですか?」
「……ああ。気が遠くなるほど、気持ち良かった。……少し、恐ろしいくらいには」
 そう答えると、デュースは先輩でもそんな風になるんだ、と笑った。いつまでも抱きしめ合う俺たちの間を、甘いバニラの香りが満たす。常々これでは多少俺の我慢が辛いものもあるが、こうしてデュースがねだってくるような日にする行為の選択肢としては悪くないかもしれないな、と俺は内心で心からの満足を覚えるのだった。

*おしまい

送信中です

×

※コメントは最大1500文字、10回まで送信できます

送信中です送信しました!