!注意! この作品に含まれる表現など
*付き合ってる設定
*R18程度の性描写(高校卒業以下および18歳未満の閲覧を禁じます)
*SM的表現
*前作「甘虐」の続きです。ドキドキ度は前回より低いかも。
以上大丈夫な方はスクロール↓
シルバー先輩は、自慢の恋人だ。優しくて、頼りになって、お父さん思いの、ちょっと無口で真面目な、渋くて格好いい先輩だ。
だけど、そんな先輩にも、欠点というか、困ったところはある。それは、気を抜くとすぐ寝ちゃうこと……じゃ、ない。
……その。夜のこと、っていうか。いわゆるえっちなことをするときだけ、なんだか、雰囲気が変わるようになったっていうか……。いわゆる、”S”の人みたいな態度になってしまうことだ。
正直な話、僕はMじゃない。だから、虐められるのも趣味じゃない。……はず、なんだ。
でも、SとかMとかそういう話以前に、僕はシルバー先輩って人自体が好きで、で、シルバー先輩はあまり自分からあれしたいこれしたいって望みを言わないタイプで、そういう、ただでさえあまりワガママを言わない好きな人がしたいことなら、受け入れたいって気持ちもあるわけで……。
だから僕は今日も、シルバー先輩に呼ばれるままに、ディアソムニア寮に向かう。一体これからどんなことをされるのか、詳しく分からないなりになんとなく予感をしていながら。
……先輩がそういうことに興味があるならって、僕なりに、少しはSMのこと、勉強してみようかとも思って、調べてみたりもしたけど。なんていうか、僕には過激すぎた。スマートフォンの検索履歴に残るだけで、誰かに見つからないかってドキドキもするし。
でも、そんな中でもどうにか、ひとつだけ分かったことがある。それは、Sの人でも、いじめるのは好きな人にじゃなきゃしない、したくならない、ってことだ。そりゃ、考えてみれば当たり前のことなんだけど、それでもやっぱり、シルバー先輩が僕を好きだからそうしたいって思ってくれてるんだって思うと、それならいじめられるのも悪くないのかな、なんて気持ちにもなれる。
される側が本気で嫌がってたら良くない、みたいなことも書いてあったし、僕の気持ちは大事……なんだと思う。
だけど、僕の気持ちそれだけが問題なら、問題はないも同然だ。結局僕は、シルバー先輩がしたいようにしてほしいんだから。
コンコンと、ディアソムニア寮の玄関をノックする。するとすぐにシルバー先輩が出迎えてくれた。
「来たか。時間通りだな」
「はい。お邪魔します」
シルバー先輩に案内されるまま、ディアソムニア寮の中を歩いて行く。ふと、いつもとは道が違うことに気付いた。
「あれ? 階段を降りるんですか?」
「……ああ。今日は部屋に同室の者がいてな。邪魔をしては良くないから、地下にある別の部屋を使う」
そうなのか、と納得する。確かに、ルームメイトがいたらSMどころか、普通にイチャつくのも遠慮してしまいそうだ。
とはいえ地下室……地下室か。あからさまにそういうことをします、って部屋じゃなきゃいいんだけど、と、どんな部屋だろうか心配していると、やがて地下室に到着した。
「窓がない分、少し薄暗いが……その代わり、照明は十分に用意されている。息苦しくなければ、この部屋で過ごそう」
「どれどれ……」
地下室の中は、簡易的な部屋って感じだった。広いベッドがひとつ、荷物置きみたいな棚が二つ。テーブルやソファとかも置いてあって、案外リラックスして過ごせそうだ。石畳の床にカーペットも敷いてあるし、ホコリ被ってるわけでもない。窓がない以外は、地上の部屋とあまり変わりはなさそうだって印象を受ける。ロウソクの炎も魔法でつけてあるみたいだし、換気口も十分にあるし、地下ならではの息苦しさみたいなものは感じない。
「大丈夫そうです」
「そうか、良かった」
シルバー先輩はソファに座り、こちらへ来い、と言った。
「お前は、何かしたいことがあるか?」
「えっ」
シルバー先輩の質問に、僕は慌ててしまう。だって、今日も……今日は、なんていうか。食われる気満々で来たっていうか。前回が前回だったから、今日もそんな風にされるんじゃないかって、そんな覚悟をしてきてたから。他のことをするかもなんて、考えていなかった。
「あ、え、えっと……」
だから、しどろもどろになってしまう。そのまま何も上手く言えないでいると、シルバー先輩が不思議そうな顔をした。
「……どうした? 何か望みがあるのなら、遠慮なく言うといい」
お前がしたいことなら、なんでも叶えてやろう。優しく耳元に囁かれて、僕は、どうしたらいいか分からなくなった。……シルバー先輩がしたいことをしてもらおうと思ってここへ来たのに、僕がしたいことを聞かれてしまうなんて。
ふうー、と浅く深呼吸して、ようやく僕は先輩に言える。
「僕は、その。せ、先輩がしたいこと、してほしい……です。そのつもりで、今日は来てたので……」
言った。言ったぞ。ここからどうなるか分からないけど、とにかく僕の気持ちは伝えた!
「それは……」
シルバー先輩の表情は、俯いていてよく見えない。次に先輩が顔を上げたとき、見えたのは、あの妙に妖艶な笑顔だった。
「……また、お前に触れてもかまわない、ということか?」
あの日のように、特別に。シルバー先輩はまた、僕の耳元でささやいた。あの日と同じように、頬に指をそっと添わせながら。
「い、いい、です、よ」
「そんなに、緊張しているのに、か?」
「だって……先輩、いつも、僕にワガママ言ってくれないから。……だから、ちょっとでも先輩がしたいことがあるのなら、どんなことでも、叶えたい……ん、です」
「デュース……ありがとう。お前は、俺には過ぎた恋人だな」
だからと言ってもちろん手放すつもりもないが、そう言って、先輩はソファから立ち上がり、地下室のドアにカギをかけた。
「……そういうことならば、遠慮なく。始めてしまっていいだろう、デュース?」
「は……はい、でも、お手柔らかに、お願いします……」
やっぱり早まったかな、と思わないでもないけど、結局前回も優しく愛してもらったことを思い出すと、僕はシルバー先輩にも、この人が作り出す空気にも、逆らえる気はしなかった。
何が始まるんだろう、やっぱり、またロープとかで手とか縛るのかな、と思っていると、シルバー先輩はソファに座る僕の前に跪いた。
「先輩?」
「……まずは、靴を脱がせてしまわないとな」
そう言って、シルバー先輩は僕の足を取り、傍にあったオットマンに乗せる。そうして、まるでお姫さまにするみたいに、ゆっくりと足から靴を脱がせていった。
僕はそんな扱いを受けるのが居心地悪くて、まごついてしまう。するとシルバー先輩が、ふっと笑いながら、靴下も脱がせて、僕のつま先にくちづけた。
「せ、せんぱい……」
「落ち着かないのか? 緊張しなくていい。痛いことも、危ないこともしない」
お前を傷つけるのは俺の本意ではない、とシルバー先輩はそう言って、裸足になった僕の右足をオットマンに再び置いた。
「さあ、次は左足だ」
同じようにシルバー先輩は、僕の足から靴と靴下を抜いていく。すっかり裸足になった僕の足を見て、満足そうに笑った。
*
可愛い。これから何をされるのか、という不安と期待に満ちながら、小首をかしげて俺のことを見つめているデュースの顔が。
大切で、大事で、好きでたまらない、のに。もっと様々な顔を見たくなってしまう。いじらしく俺を求める顔を、切なく俺を呼ぶ声を、求めたくなる。デュースの、その姿を見ているだけで……。
……そんな俺の醜い欲を、デュースは、『先輩の数少ないワガママ』だからと言って、受け入れたいと言ってくれる。
最初は嫌がる素振りも見せていたのに……それでも、俺を、俺の持つ性質を受け入れてくれることに決めたのだ。
それがどうにもこうにも嬉しくて、俺は、自分でも自分を止められる気はしなかった。
……困った。デュースを傷つけたり、手荒な真似をしたいわけではないのに。俺の欲は、留まるところを知らなさそうだ。
緊張した面持ちで俺のことを見つめるデュースの額にくちづけて、くしゃりと髪を撫でる。
「ベッドへ運ぼう。……かまわない、のだろう?」
「はっ、はい……」
裸足になったデュースを抱え上げ、ベッドへと座らせる。上着を脱いで待っていてくれと告げれば、デュースはその通りに、するりと自分の肩から制服の上着を滑らせ、べストから腕を抜いた。
俺はその間に、懐からそうした行為に使うためのロープを取り出す。前回は緊急用に常備している荒れたロープを使ったが、そのせいでデュースの手首に跡が残ってしまった。本当に傷つけるつもりではなかったから、すまないと言って謝ったのに、デュースはどこか嬉しそうに、大丈夫ですと言ったんだ。
キスマークの件も困るとは言っていたが怒られなかったから、どうにもアイツは俺に何らかの痕跡を残されるのが好きらしい。
とはいえ、同室の者に手首の跡は妙な目で見られたと言っていたから、その辺りに配慮してやる必要はあるだろう。
そういうわけで、今日はリストバンド代わりの包帯を用意している。包帯を巻いた上からロープを結べば、手首に縄の食い込んだ跡が残ることはないだろう。……二重の拘束にもなるしな。
「デュース、手を出してくれ」
「は、はい……」
「今日はベッドには縛りつけない、安心してくれ」
お前が逃げないでいてくれるのなら、と俺はデュースの手首に包帯を巻き付けて結び、その上からロープの縄をかけた。
そうして、余ったぶんのロープを切って傍に置いておく。後で何かしらに使えるかもしれないからな。
「痛くはないか?」
「大丈夫、です」
デュースは不思議そうに手首のロープを動かしてみせる。だが、遊んでみたところでそう簡単には結び目は取れないはずだ。そうなるように結んだからな。
「では……始めるとするか」
バースデーケーキのロウソクを吹き消すように、デュースの耳元に息を吹きかける。それに合わせて、地下室のいくらかの照明が消え去り、部屋は薄暗さを得た。
*
シルバー先輩の始めの合図で、部屋は一気に暗くなった。なんだか良くないことをしている気分になるな、なんて思っていると、ふと、視界を塞がれた。これは、シルバー先輩の手?
「デュース」
しゅる、と音がして、首元に開放的な感覚がする。目隠しをしたまま、ネクタイを解かれたみたいだ。
そのまま、ぷちぷちとシャツのボタンも外されていく。……なんだろう。先輩の手で目隠しをされてるだけなのに、それで、まだ、服を脱がされてるだけなのに、なんでか、もう既に、変にドキドキする。
こんな、地下室になんて来て、いかにもって雰囲気の中にいるから、なんだろうか……。
「ぁっ」
そんなことを考えてたら、いきなり乳首を触られて、びっくりしてしまう。そ、そうか、これ、どこから触られるか分からないのか……!
「可愛い、デュース」
手で僕の目を隠しているからなのか、シルバー先輩の声がすごく近くで響く。
「ぅ、く、ぅ……」
うずくまって胸をいじられるのに耐えていると、先輩が、力を抜いていいぞと声をかけてくれた。
それでも、僕は耐えるのに精いっぱいで、身体から力を抜くことができない。
「……まったく」
すると先輩は、僕の目を隠していた手を外して、僕の身体を抱き上げた。
「せんぱい……?」
「ほら……寝せるぞ。力を抜いて、リラックスしていろ」
改めて僕は、ベッドに横たえられる。さっきまでいじられていたんだろう乳首が反応して立っているのが見えて、恥ずかしくなった。
「可愛いな、デュース」
ベッド脇に腰かけながら膝を立て、シルバー先輩は僕に背を向けながらも、振り向いて僕を観察する。
こんな恥ずかしい姿で、ただ見ないでほしいんだが……!
「あ、あんまりじっくり、見ないで、ください……」
「ああ……すまない。この時間を、ゆっくりと楽しみたくて」
だからと言ってお前を待たせてしまってはいけないなとシルバー先輩は靴を脱ぎ、僕の前に覆いかぶさった。
それから、僕の頭を両手で包み込んで、それから、さっき脱がせたときどこかに置いておいたらしい僕のネクタイを取り出した。
「……少し、視界を奪うぞ」
そう言って、シルバー先輩は僕の目元を、ネクタイで結んだ。また、目隠しをされてしまった。
「ふっ。……お前がこのネクタイを締める度に、今日のことを思い出すといい」
「せんぱ……んっ」
名前を呼ぶ間もなく、ちゅ、とくちづけられる。目隠ししたまま、ちゅ、ちゅ、と何度もくちづけられて、僕は、本当にこんなことしていいのかって気分になった。
「お前の蕩けた目が見られないのは残念だが……知っているか? デュース。人は視界を奪われると、他の感覚が敏感になるらしい」
だから、とシルバー先輩が言葉を切った後、いきなり乳首に濡れた変な感覚がする。
「ぁっ!」
「お前のここも、鋭敏になっているのかもしれないな?」
ぴちゃぴちゃと、何かを舐める音が響く。今、乳首を舐められてるんだ。僕のネクタイで、目隠しをしたまま……。
こんなの、誰かに見つかったら、ヘンタイだって思われる。先輩は地下室に鍵をかけてくれたけど、でも、それでももし、鍵を持つような誰かに見つかってしまったりしたら……。
そんな心配や想像のせいか、僕の身体は余計に興奮してしまう。
「んっ、んぅ、ゃ、ん……っ」
「……もっと、声を聞かせてくれ。デュース。俺を求める声を……」
そう言われて、気づいた。ここは地下だから、部屋の中に、妙に声が響いてることを。
「んっ、ゃ、ぁ……っ、声、響いて……っ」
「……声が気になるのか? なら……」
今度は、耳のあたりに妙な感覚がした。そっと、シルバー先輩が両手で僕の耳を塞いだみたいだ。
「デュース」
そのまま、深くくちづけられる。耳を塞がれているから、ぴちゃ、くちゅ、と口の中をぐちゃぐちゃにかき回される音が直接頭に響いて、どうにかなっちまいそうになる。
「ん……は、んぅ……、ふっ……、」
「……ん、ぅ……」
シルバー先輩の漏れる吐息が、自分自身の喉から漏れる声が、頭に響いて、クラクラする。口の中の息も、足りない。
ようやく解放してもらえたときには、僕の身体からはくたりと力が抜けきっていた。
「可愛い……お前は本当に可愛いな、デュース」
「せ、んぱ……」
するりと、先輩の指が僕の後頭部に触れる感覚がした。どうやらもう、目隠しは外してくれるみたいだ。
「やはり、お前の表情が見えないのは寂しいな」
「しるば、先輩……」
目隠しがとれた瞬間、見えたシルバー先輩の顔は優しいほほ笑みを僕に向けていた。
シルバー先輩の手が、縛られた僕の手首を、胸の前から頭の上へと動かさせる。
そのままぎゅっと手首を抑えつけられると、なんだかドキリと心臓が跳ねるような心地がした。
「デュース」
甘い声で、シルバー先輩が僕の名前を呼ぶ。はい、と返事をすれば、抑えつける手の力には似合わず、優しいキスが落ちてきた。
僕の腕を動かないように抑えたまま、器用なことにシルバー先輩は空いた手で僕の身体をまさぐっていく。
「んっ……ぅ……」
僕はもっと肝心なところに触れてほしいのに触れてもらえないもどかしさで、つい腰を動かしてしまう。
それを目ざとく見つけたらしいシルバー先輩が、ぺろりと指を舐めた。
「触れてほしいのか?」
「うぅ……」
恥ずかしくて顔を逸らすけど、シルバー先輩はそんな僕の顔の傍に自分の綺麗な顔を寄せて、問い詰めてくる。
「正直にねだってみろ、デュース」
「そんな……、恥ずかしい、です……」
「何も、恥じることはない。俺にだけ、伝えてくれないか? 今ここにいる、俺にだけ、だ」
「……っ、」
耳元でささやき続けられれば、僕はもうダメだった。シルバー先輩の甘く痺れる言葉に、逆らえない。
「デュース、素直になれ」
「……さ、わって、ほしい、です……」
「いい子だ」
手のひらで髪を撫でられ、ほっと息を吐く。その気を抜いた一瞬の間に、シルバー先輩は僕を抱え上げ、腕の中に入れた。自然、僕の身体はシルバー先輩に背中を預ける形になる。
「せ、せんぱい……」
「……上手におねだりできたからな。褒美をやらなくては」
するりと、シルバー先輩の手が僕のものに伸びる。布の上からやわやわと揉み込むように撫でられ始め、身体がびくりと震えた。
「ぁっ、ん、ゃあ……っ!」
「デュース」
「ゃ、せんぱ、んっ、も、ゃ……っ」
「可愛い、デュース」
耳元にちゅ、ちゅとキスを落としながら、シルバー先輩はいじる手を止めてくれない。僕は僕のものがどんどん勃っていくのが分かって、どうしようもなく恥ずかしくなる。もう何度も見られていることだとはいえ、それでもやっぱり恥ずかしいものは恥ずかしい。
いつの間にかはだけさせられたシャツの下、背中にもキスを落とされて、背筋にゾクゾクとした感覚が走っていく。
未だに手首は縛られているから、与えられる快感をどこにも逃がせなくて、嫌だ嫌だと首を振るばかりになる。
「そろそろ、脱がせてしまおうか。……さあ、腰を上げろ」
シルバー先輩の手が僕のズボンのベルトにかかる。あっという間にズボンとパンツを脱がされてしまい、僕は薄いシャツ1枚でしか身体を隠せなくなった。
「せ、んぱ……」
「……安心しろ。俺もすぐに曝け出す」
言葉通り、シルバー先輩も勃っている自分のものを取り出して、改めて僕を膝の上に乗せた。シルバー先輩の首に、僕の縛られた手首を回して、座ったままで向かい合う。……この体勢、顔が近くて嬉しいけど、やっぱりちょっと恥ずかしいな。
「デュース」
「は、い」
「後ろ、触るぞ」
宣言するが早いか否か、シルバー先輩の指が僕の後ろに伸びてくる。すぐに後ろをほぐし、いじりはじめられた感じがして、僕はシルバー先輩にしがみついた。先輩の、ふっと笑う声が聞こえた気がした。
「んっ……、んぅ……」
「いい子だな。少しだけ、我慢だ」
シルバー先輩は空いた片手でそんな僕の頭を撫でながら、ナカを探り当てていく。
「ん、んぅ、んん……、……ぁっ……」
「この辺り、か?」
「ぁっ、ゃ、せんぱ……っ、ぁ、ああ……っ」
「気持ちいいか、デュース」
「きもちい、やだ、きもちい、せんぱい、そこだめ……っ」
「よしよし」
「んっ、ふ、ぅ……っ♡」
先輩に頭を撫でられながら、後ろをいじられていく。やっぱり優しい人だなと、ぼうっと蕩けていく意識の中でそう感じた。
そうして先輩に宥められながら何度も後ろをいじられて、やがて、先輩とひとつになる準備が整う。
「そろそろ挿れるぞ、デュース」
「は、い……」
「頑張っているな」
息も切れ切れに返事をすると、シルバー先輩はまたぽんぽんと頭を撫でてくれた。
それから腰を浮かされ、行くぞ、の合図でシルバー先輩のものが僕の中に挿れられていく。
「んっ……」
「平気、か?」
「は、い、ぁ、もっと、おく……っ」
「ふっ、欲しがりだな」
「ぁ……っ♡」
ずん、と衝撃がして、深く奥まで何かが挿入った感じがした。もう僕の頭の中はぐちゃぐちゃで、シルバー先輩の、シルバー先輩がナカに、せんぱい、気持ちいい、もっと、なんてことしか考えられてない。
「は、ぁ……、も、せんぱい……、はやく、うごいて……」
「そう焦るな。ちゃんとしてやるから」
「う、うぅ……っ」
シルバー先輩は、焦れる僕を宥めながら、何かを用意している。涙が滲む目を瞬きさせてぼやけた視界をハッキリさせると、シルバー先輩は緩い輪になったロープを持っていた。
「ロープ……? どう、するんですか?」
「こうするんだ」
そう言って、シルバー先輩は僕の首にそのロープをかけた。と言っても、全然苦しくはない。僕の頭がもうひとつ入りそうなくらいには、その輪っかは大きくて緩いからだ。これなら間違っても、首が締まったりはしないだろう。
僕の首にかかったロープの輪を、シルバー先輩が手に持つ。軽く引っ張られると、シルバー先輩との距離が近くなった。
「ぁ……」
「ああすまない、痛くなかったか?」
「大丈夫、です」
「そうか」
それからシルバー先輩は、先輩が持っている側のロープの輪に、くちづけた。
「お前と、もっと近くでひとつになりたい」
そうして、シルバー先輩も僕と同じロープを首にかける。ひとつのロープの中に、僕とシルバー先輩の両方の首が入ることになった。
まだロープの輪には余裕があるから痛くはないけど、ロープのせいで距離が近くなって、離れることができなくて、やけにドキドキする。
「せん、ぱい」
「……始めよう、デュース」
シルバー先輩は、とても綺麗な笑顔で笑って、それからすぐに、僕を煽るよう律動を始めた。
「ぁ……ぁあ……っ♡」
「……く、ふっ……」
ロープの輪で繋がれあっているから、先輩との距離は遠ざからない。ずっと吐息がかかり合うような近くで揺れ合っていて、ドキドキするのが止まらない。
「ぁ、ん……。せ、んぱ……ちか……」
「……ん。近いな……」
シルバー先輩は、嬉しそうな声音で答える。僕も、嬉しい。ずっと、シルバー先輩の近くにいられるってことが。
……なんとなく、なんだけど。縛られたり、目隠しされたりとかもしてるんだけど。今も、首にロープはかかってるんだけど。
それなのに今日はなんだか、いじめられるってよりは『愛されてる』って感じるな、って思った。
「……」
ゆっくり動きが止まって、すっと、シルバー先輩の両手が僕の首に伸びる。首にかけられた手には、力が込められていない。ただ、添えるだけみたいだ。シルバー先輩はそのまま、愛おしく笑っている。普通なら、そのまま首を絞められたりするんじゃって警戒するんだろうけど、僕は今、そんな気にはならなかった。大丈夫だ、という確信があったというか。この人ならそうなってもいい、という気分だったというか……ともかく、首にかかるシルバー先輩の手を、拒む気にはならなかったんだ。
「好きだ……デュース」
「……はい、シルバー先輩……」
僕は目を閉じて、シルバー先輩を待つ。首にかけられた手が首筋を滑って頬に流れてきて、優しいキスが降りてきた。
ゆっくりと目を開けると、目の前にはやっぱりシルバー先輩のきれいなオーロラ色の瞳がある。
「……デュース、行くぞ」
「ぁっ……」
シルバー先輩の手が僕の腰を掴み、激しく揺すり始める。愛情をたっぷり込めながら、何度も、何度もナカに打ち付けられて、首にかかったロープがあるから、距離を離すこともできなくて、どこにも逃げ場なんてなくて、逃げる気なんてなくて、僕は、僕はもう――。
「ん、ぁ、んんっ、だめ、せんぱ、だめ……っ」
「デュース……、可愛い、デュース」
「ひぁ、ん、ぐ、ぅうっ、ん、ふぁ……っ」
「……っ」
「ゃ、ひゃ、ぁあああああっ、しる、ば、せんぱぃい……っ」
「く……っ」
イった。一回イった。先輩が動くのにつられて、一回イったはずだ。
足も後ろもびくびくしてるし、先輩もそれは分かってるはずだ。それでも、先輩は止まってくれなかった。
「……まだだ、デュース」
「えっ、ゃ、ゃあ、僕、ぼくイったばっか……っ、ぁ、ひぁあああああ……っ♡」
「可愛い……、デュース、もっとお前を俺にくれ、デュース……っ」
「~~~~~……ッ♡」
それからまた何度もキスされて、何度も身体を抱きしめられて、ナカもソトも全部をたっぷり愛されて、僕はようやく解放されてしまうことになった。
もう気持ちいいのいらないってくらい気持ち良くされたのに、終わってしまうのがなんだか、少し残念なような気さえした。
「デュース、平気か?」
後始末を終えたシルバー先輩は、水のペットボトルを差し出してくれる。受け取りながら、僕は答える。
「平気、です」
縛られた手のロープは解かれ、もう自由になっている。シルバー先輩は終わるとすぐに解いてくれるからだ。
「こっちへ来い」
シルバー先輩は、肩ごと僕を抱き寄せる。僕は、それに身を任せる。……暖かくて、落ち着くな。
ほう、と息を吐いていると、シルバー先輩の手が頭を撫でてくれた。
「何度も言うが……お前が、俺の性質を受け入れてくれて、良かった」
「性質……」
ああ、Sのことか、と僕はまだ回らない頭で考える。
「せんぱい、痛いこととかひどいことするわけじゃないですし……。僕も、その、最初はいじめられたりするの、あまり得意じゃないかなって思ったんだけど……」
でも、気持ち良くしてくれるし、優しくしてくれるから、嫌いじゃないです、と答えた。
そうか、とシルバー先輩が僕の頭を撫で続ける。僕はふと、気になってシルバー先輩に尋ねた。
「ひょっとして、傷が残るようなやつとか、血が出るみたいなやつもやってみたかったりするんですか?」
ムチとかローソクみたいな、いかにもってやつ。するとシルバー先輩は答えた。
「……分からない。お前のことは大事にしたくて……。傷つき、血を流しているのは見たくないのだが、嫌がりながらも喜んでいる顔は、……申し訳ないが、見たいと思う。だから、そういったことは、お前の興味がもしそこに向き、それを望むなら……ということに、なるのかもしれない。だから、ロウソクはともかく、ムチというのは、あまり……今選びたい手段ではない、と言えるだろうか」
「そう、なんですね」
僕はうなずいて、シルバー先輩に抱き着く。うん。やっぱり、シルバー先輩は、シルバー先輩だ。SとかMとかである前に。僕の好きな、優しくて格好いいシルバー先輩のまんまだ。
「デュース?」
「へへ。僕、分かっちゃいました。先輩がSの人だって分かったときは、どうしたらいいんだろう、痛いのとかガマンしなきゃいけないのかな、ひょっとしてって思いましたけど……。別に、そんなの気にしなくていいんですよね。先輩がSの人だったって、先輩は先輩なんですから」
「デュース……」
先輩は、驚いたように少しだけ目を丸くする。
「SとかMとか、関係なく。二人で何をすればいいのかなんて、シルバー先輩が僕をどうしたいか、僕がシルバー先輩とどうなりたいかで決めていいんだって、分かりました。シルバー先輩が、いっぱい愛してくれたから」
だから、興味が出たらしましょう。これじゃないな、違うなって思ったらやめましょう。いっぱい、いろいろ試していって、僕たちだけのアイのカタチってやつ、作りましょう。
そこまで言うと、シルバー先輩は僕のことをがばっと勢いよく抱きしめ返してくれた。
「ああ。……そうだな、デュース。ありがとう」
「また、こうやってしてくださいね。これが先輩の『愛してる』の気持ちなんだって、僕、もう分かってますから」
「……ああ」
俺を受け入れてくれたのが、お前で本当に良かった。シルバー先輩はそう言って、僕をずっと、ずっといつまでも抱きしめてくれていた。
(一晩中だっていじめられても、僕はかまわないんだ。それが、シルバー先輩の愛だって言うなら)
大好きでいっぱいの気持ちになって、僕はシルバー先輩をぎゅっと抱きしめ返した。
*おしまい
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