*リクエスト「シルデュがお互いに肩をマッサージし合う話」書かせていただきました!
*肩以外もマッサージしています。すいません。
以上大丈夫な方はスクロール↓
学園裏の森、そこにある湖のほとり。僕はそこで、よくシルバー先輩と、ふたりで会っていた。
……っていうのも、それは、その。僕が、シルバー先輩と、恋人……だから、なんだが。
なんだか夢みたいだろ? でも、夢じゃないんだ。あんな渋くて格好良くて頼りになって優しい人が僕の恋人だなんて、ほんとに……夢、じゃないんだよな。
そんな夢見心地で、今日もシルバー先輩に会いに行く。すると、シルバー先輩が湖のほとりに佇んでる。
座っているシルバー先輩の隣に行くと、いつも「ああ、デュースか」って挨拶してくれるのに、今日は何も言わない。
ふとシルバー先輩の様子を見たら、目を閉じてうつらうつらしていた。
……あれ? あれ、先輩寝ちゃってないか? 寝てるな、これ。
「疲れてるのかな?」
シルバー先輩の頭がふと、僕の肩にトン、と乗せられた。
あ、ほんとに疲れちゃってたみたいだ。シルバー先輩はそのまま、すう、すうって寝息を立て始めた。
僕はそれで、思った。シルバー先輩の肩とか、すごく……硬いな。鍛えてるのもあるんだろうけど、ひょっとして、凝ってるのかも。
だとしたら、シルバー先輩の恋人として、黙ってはられない。僕にできることがあるなら、ちょっとでもやらないと!!
「よし! シルバー先輩が起きたら、今度の休日に時間もらえるか聞いてみよう!!」
こうして、僕の『シルバー先輩を癒すぞ大作戦』は始まったんだ。
僕は決めた。シルバー先輩の身体を、マッサージする。普段からの疲れも凝りも、全部取れちまうくらいに。
そのためには、準備が必要だ。本格的なマッサージはやったことないから、その勉強と、あとは、マッサージオイルとか、なんかそういう必要そうなものを買い集める。
……って言っても、どれがいいのかよくわかんなかったから、適当に店員さんにオススメされたのを買った。
シダーウッドの香り、らしい。よくわかんないけど、森の香りに近いなら、シルバー先輩も喜ぶはずだ。
店員さんの前で、「恋人をマッサージしてあげたいんです」って言うのは、恥ずかしかったけど……。
でも、きっと僕らにぴったりないいものを選んでくれた、はずだ! ……よな?
マッサージオイルを拭きとるための、ふわふわのタオルも買ったし! これで準備は完璧だ!!
そして、当日。僕はシルバー先輩の部屋にお邪魔した。
「今日は何がしたい、デュース?」
シルバー先輩は、僕が遊びに行くと、いつもこう聞いてくれる。だから、僕は言った。
「シルバー先輩っ!! 僕、先輩のこと……癒してあげたいです!!」
「……ん? そうなのか? いつもお前には癒されているが……」
「もっとです、もっと! 先輩の身体とか、硬くなってると思うので! ほぐしてあげたいんです!!」
そう言って僕が『マッサージ大全』という本を取り出すと、シルバー先輩は、そういうことか、と頷いた。
「ふっ、お前は優しいな。俺の身体で良ければ、したいようにしてくれていい」
「ありがとうございます!! じゃあ、えっと……。まずは上着脱いで、ベッドに横になってください!」
寒かったらブランケットかけるので! と声をかけたら、シルバー先輩は、平気だ、と答えた。
それで、ベッドにうつ伏せに横になったシルバー先輩の身体を見て、僕は改めて気合を入れる。
……すごく、大きくて頼りになる背中だ。この背中を癒せるように、今日は僕、頑張るぞ!!
マッサージオイルを手に取り、両手を擦って暖める。冷たいオイルをいきなりつけたら、先輩が冷たくてびっくりしちまうって、本に書いてあったからな!!
で、でも……ちょっと、緊張する。こんな、肌に直接、改めて触るのは……。
「……失礼しますっ、シルバー先輩!」
震える指先で、温めたオイルをシルバー先輩のうなじから、首筋、背中へと塗っていく。 指の間から、シルバー先輩の体温が、じわりと伝わってくるのが分かった。
「……っ、すまない、デュース。少し、くすぐったいな」
シルバー先輩が、少しだけ首をすくめて笑う。その小さな揺れが、オイルを塗る自分の手のひらにまで響いてきて、……なんか、すごくドキドキする。心臓が止まっちまいそうだ……。ヤバイ、まだ始まったばかりなのに……!! こんなドキドキしてどうすんだ、僕!
「が、頑張ってくすぐったくないように塗りますっ!」
「ああ……俺も、耐えることにしよう。これも鍛錬だ」
ドキドキしながらも、なんとかシルバー先輩の背中にオイルを塗り広げていく。
そこで気づく。……はっ。僕、オイル塗ることに夢中になって、肝心のマッサージを忘れてないか!?
「ちょっとずつ、揉んだり撫でたりしていきます」
耳の後ろからシルバー先輩に声をかけると、ちょっとびくってした気がした。
「……あ、ああ。頼んだ」
シルバー先輩の許可をもらったので、安心して僕はシルバー先輩の背中に、オイルを滑らせるようにして、手のひら全体で撫でていく。
「ははっ、硬いな……」
鍛え抜かれたシルバー先輩の身体は、どこを触っても硬くって、ほんとうに、ほぐし甲斐があるってもんだ。
「く……」
そんな風に、背中を撫でたり、肩を軽く揉み込んだりしていると、シルバー先輩が小さく声を上げた。どうしたんだろう?
「痛かったですか? すいません……」
「違、う。逆だ……。心地良すぎて、眠ってしまいそうなのを……耐えて、いる……」
どうやらそれは嘘じゃないみたいで、シルバー先輩は、見るからにうとうとしている。
「寝ちゃっても大丈夫ですよ。僕、その間に頑張ってシルバー先輩の身体、ほぐしておきますから!」
「……だめ、だ。お前が、せっかく、俺のために……頑張って、くれている、のに……。俺だけ、眠ってしまっては……」
そう言いながらも、シルバー先輩は今すぐにでも眠ってしまいそうだ。
「じゃあ、背中はこの辺にして……。ちょっと身体、起こせますか?」
「……ああ」
シルバー先輩は身体を起こして、ベッドに座った。僕はそのシルバー先輩に向き合って、そっと首筋辺りを撫でていく。
「この辺の、首の後ろとか首筋とか、うなじの辺りが、眠気に効くらしいんです。……どうですか?」
シルバー先輩に尋ねると、ばちりと目が合った。ち、近いな。マッサージに夢中で気づかなかったけど……! 近い!
「……そ、その。眠気は、覚めた……」
「そ、そう、ですか……っ」
なんだかお互いにドギマギしながら、誤魔化すようにマッサージを続ける。
「う、腕とかもやりますねっ!」
「あ、ああ」
シルバー先輩の二の腕にも、オイルを塗り込みながら少しずつ揉んでいく。
されるがままに黙っているけど、なんだか熱い視線が僕に向かってきている気がした。
「ん……」
時々漏れるシルバー先輩の声が、僕のドキドキを加速させる。
「……ふっ、そこ、いいな……。うまいぞ、デュース」
「は、はい……っ、ありがとう、ございます……っ!」
なんか、なんだろう、良からぬことを考えてしまいそうになって、僕は必死で頭からその考えを振り払った。
「よし、腕はこんなもんかな……? 次は、手のひらですね。シルバー先輩っ」
手のひらを両手でぎゅっと握って、もみもみと揉んでいく。すると、シルバー先輩に途中で指を絡めとられた。
「せ、先輩?」
僕はドキッとして、先輩の目をじっと見る。すると先輩は、ふっと笑った。
「……すまない。お前が、あんまり可愛いから。悪戯だ」
続けてくれ、とシルバー先輩は指をほどく。なんだかちょっと名残惜しかったけど、今日の僕はシルバー先輩を癒すのが目的だから、続けて頑張ることにした。
……した、んだけど。
「ほら、どうした? 手のひらをマッサージしてくれるんじゃなかったのか?」
「し、しますけど……っ、も、もう、くすぐったい……っ!」
シルバー先輩は、目の前に向き合った僕の肩に頭を乗せて、時々、首筋にちゅ、とキスする悪戯をしてくるようになってしまった。
僕はそれでもなんとか、先輩の手のひらを揉もうとするけど、先輩にキスされる度、ドキドキしてうまくできやしない。
「もう……っ」
「ふっ、すまない。だが、俺は今、すごく癒されている」
「な、なら、いいんですけどっ」
そろそろ身体冷えちゃいそうだし、いったんオイル拭きますね、とタオルを取り出す。
そしてシルバー先輩の身体を一通り拭き終えてしまった頃、シャツを適当に羽織りながら、シルバー先輩が言った。
「ありがとう、デュース。身体も心も、ずいぶん軽くなった気がする」
「なら、良かったです!! ……へへ……」
頑張って良かったな、という気持ちに浸っていると、シルバー先輩に、ベッドに倒されていた。え、な、なんで!?
「……だから、俺も返したい。お前に……最上級の、癒しを」
する、と僕の服の裾から、シルバー先輩の手が入ってくる。びく、と身体を震わせると、そんなに緊張するな、おかしなことはしない、とシルバー先輩は額にキスを落とした。
「お前にマッサージされるのは、とても、気持ち良かった。だから……俺も、お前に」
そう言って、シルバー先輩は、僕の身体を、僕がさっきまでしてたのと同じように、撫で、揉み込み、手のひらを滑らせる。
だけど、力加減がその、なんていうか、すごく、上手くって、それで、その、シルバー先輩の手のひらが、さっきまで僕がたくさん触ってた手のひらが、熱くって、なんていうか。……すごく、気持ち良くって。
でも、シルバー先輩、シャツのボタンとか留めてないままだから、さっきまで触れていた肌が見えて、すごく、ドキドキもして。
「ふぁ……」
「ふっ。気持ちいいか、デュース? もっと、蕩けてくれ。俺の手で……」
優しく背筋を撫でられ、ぞわりとした気持ち良さが走る。ちゅ、ちゅと首筋や頬にキスをされながら、足の先や、手のひらなんて、触れたところから優しく揉まれて、身体のどこからも力が抜けていく。
「しるば、せんぱい……」
とろりとした目でシルバー先輩を見上げる。
「……な? こうされると、眠くなってしまうだろう」
シルバー先輩はそう言いながら、僕の額にキスを落とす。
そうして、服の上からだったり、肌に直接だったり、僕の身体を抱きしめるようにしながら、満足するまであちこち揉み込んだ。
僕は、なんだかそれが、嬉しくて、でも同時に恥ずかしくて、だんだん顔が熱くなってくる。
「……ふっ。顔が赤いぞ。無理はさせたくない……、これくらいにしておくか」
「しるば、せんぱい……」
シルバー先輩は、脇に置いていたブランケットを引き寄せ、僕を抱き寄せながら、ふたりの身体にかけた。
「……お前の熱が暖かくて、眠くなってきてしまった」
「は、はい……」
「一緒に眠ろう、デュース」
そうして、シルバー先輩はまた、僕の指に指を絡める。
僕はドキドキしながらも、ほぐれた身体の心地良さに、とろんと目を伏せた。
「……ん、シルバー先輩……」
「ああ……おやすみ、デュース」
シルバー先輩の腕の中、マッサージオイルの良い香りに包まれて、ふたり、ほぐれた身体でブランケットに包まれる。
……疲れたシルバー先輩を癒すのが目的だったけど、僕まで気持ち良くしてもらっちゃって、良かったのかな。
そんな疑問は、穏やかな微睡(まどろみ)の中、シャボン玉のようにふっと浮かんで、消えていった。
*おしまい
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